ヴォーカリストに重要な要素はなにはともあれ「歌声」なのです。僕の好きなヴォーカリストのひとりに元ゾンビーズのコリン・ブランストーンがいます。アルバム『一年間』でのくぐもっと歌声は忘れることができません。あと、先日亡くなった(涙)ブロッサム・ディアリーの歌声も素敵ですね。

今月のテーマは「ヴォイス」。いい声のヴォーカル、声が特徴的、口のジャケット、スキャットコーラス・・・など、ヴォイスにまつわるレコードのセレクションです。

Toru WATANABE (pee-wee marquette)

02,04,06,08,10:
Toru WATANABE (pee-wee marquette)
01,03,05,07,09:
Masao MARUYAMA (musique dessinee)



ROSEY / DIRTY CHILD
(ISLAND)


そのハスキーでソウルフルな歌声がカッコイイ!NYC出身の女性シンガー、ROSEYの2002年のデビュー作。ジャズを中心に歌っている彼女ですが、本作は当時の流行も加味してか、ややヒップホップ/R&B寄りのサウンド。全体的に彼女のパンチ力のある歌声を楽しめますが、何と言っても近年の作品でセルフカヴァーも披露している「LOVE」が飛び切りにソウルフルな名曲。ジワジワと込み上がって行くメロディ、心に響く歌声が完璧にマッチした極上の一曲です。


LES NICOLE / PARLONS-EN MONSIEUR
(CBS)


レ・ニコル・・・女性シンガーなのかガール・グループなのかも分からない詳細不明のレコード。作詞にNICOLE DELARCとクレジットされていて、この人が関係しているのかもしれない。ジャケットを見ただけでは「フレンチポップのレコードか?」となりそうですが、実はロックンロール〜ジャズ色の強い作品。特に「VERS MON AMOUR」はかなり渋いジャズワルツに仕上がっていて、混声女声ヴォーカルも艶っぽいです。


YASMIN / AUSENCIA
(SELECT)


おませ&可愛らしい歌声がイイ感じ!プエルトリコの女の子シンガー、YASMIN OBJIOちゃんが1972年に吹き込んだ一枚。当時は7〜8歳位と推測されますが、結構しっかりとした歌いっぷりに好感。バックの演奏もかなり格好良いラテン?ポップスで興味深いです。イントロのホーンの鳴りから格好良い華麗なラテン・ダンサー「LA NINA TRISTE」が白眉。切ないメロディを奏でるフルート、ソリッドなホーンセクションと小気味良く駈けるようなリズムワークもバッチリ決まってます。


KATHERINE GILLY / TU ETAIS SI JALOUX
(FLAMOPHONE)


元祖カヒミ・カリィともいえそうな個性的なウィスパリング・ヴォイスの持ち主、カトリーヌ・ギリー。これは1974年リリースのシングル盤。BERNARD LUBATのアコースティックなバッキングはシンプルで個性があるとは言い難いのですが、そのぶん彼女のヴォーカルの個性が際立っていて、主張しないアレンジも計算ずくなのかもと思わせてしまう。彼女の作品は二枚しか聴いたことが無いけれど、その後もどこかで歌声を聞かせていたのだろうか?


CHET BAKER / SHE WAS TOO GOOD TO ME
(CTI)


唯一無二の温もりを感じさせる歌声が素晴らしい!世界に名だたるトランペット奏者、チェット・ベイカーが名門CTIに吹き込んだ一枚。チェットの味わ深いトランペットと、優しさに溢れた歌声がマッチした、柔らかく穏やかな空気に満ちた作品です。中でもウットリ度数が高過ぎるヴォーカル曲「With a song in my heart」が秀逸。何でも無いのに“何かスゴい”。そんな絶対的な魅力に溢れた名演です…


CLAUDE RIGHI / ELLE (RIVIERA)

CLAUDE RIGHIというフランスの男性シンガー、何だかニュースキャスターか俳優かという風貌です。これは1966年リリースのコンパクト盤(デビュー盤かも?)。JEAN-CLAUDE PETITのグルーヴィなバッキングを得て、ダンディズム溢れるヴォーカルを披露しています。特に好きなのは「MACHINE」。♪マシーン〜マシーン〜と超音波のような高音女声コーラスをフィーチャーしたヒップな近未来グルーヴナンバーです。


ECSTACY / IT’S GOOD FOR YOU (HIR)

風貌からは想像し難い子供声が印象的!1970年代には、ソウル?ファンク?ディスコ系のシンガー/プロデューサーとして名を馳せたLeroy Burgeesが手掛けた男性3人組のソウルグループ、その名もEcstacyのシングル盤。アメリカ盤7’にしては、ジャケット付きと言う珍しい体裁のリリースですが、子供声のリードシンガーの歌声と、程よく込み上がるミディアムテンポのメロウソウルに仕立てた楽曲のクオリティが、絶妙にマッチしたタイトル曲が素晴らしい。とろけます…


VIRGINIA VEE / ECOUTEZ LA MUSIQUE (SONOPRESSE)

前も紹介したことのあるフランスの黒人女性シンガー、ヴァージニア・ヴィー(過去記事)。本作は1973年リリースのシングル盤で、バロン名義でお馴染み、ベルナール・エスタルディがバッキングを手掛けている。注目はB面「THE MAN AND HIS HORN」。バロンのソロ作でもインストで収録された哀愁の名曲をヴォーカル入りで再演している。アレンジが良いですね。シンプルだが効果的なアンサンブルは流石です。ちなみにA面はキャロル・キングのカヴァー。


RAY WONDER / GOOD MUSIC PLUS (production dessinee)

圧倒的な存在感を放つソウルフルな歌声がヤバい!スウェーデンの4人組ロックバンド、レイ・ワンダーの通算2枚目のアルバムにして名作。ヴォーカル&ソングライター、ヘンリック・アンダーソン(現:ザ・クラウン)の唯一無二の歌声&センスに、他のメンバーが持ち寄った雑多なアイデアが融合したミラクルなサウンドが詰まっています。言葉に出来ない高揚感が最高な「HANG ME HIGH」、カラフル&ドラマチックな洗練のカクテル・グルーヴ「SOUVENIR」など、アルバムを通じて、軽〜い奇跡が何度も起こっているかのようなミラクルな1枚!まさに“グッド・ミュージック”!。


RAPHAEL / SEUL DEPUIS MILLE ANS
(EMI)


コントラストの強い男性のポートレイト・・・ハードロック系アーティストのような風貌のベルギーの男性シンガー、ラファエルの1974年のシングル盤。この中にはミディアムテンポのソウル/ファンク・ナンバー「SEUL DEPUIS MILLE ANS」が収められています。正確に16ビートを刻むギターカッティングから始まり、ややゆったりとしたビートに男前なヴォーカル。決して派手ではないけれど、じわじわと心に染み入るナンバーだと思います。