涼しかった今年の夏。去年の夏は確か異常に暑かった。毎年「異常気象」と言っていては異常とは言わないんじゃないかって気もする今日この頃ですが、思い返してみると、今年の夏もいろいろな出来事がありました。

今月のお題は「2009夏休みの想い出」。夏休みの想い出を、絵日記ではなく音楽日記としてお届けしてみようと思います。ちなみに日記の内容はフィクションも含まれています。

Toru WATANABE (pee-wee marquette)

01,04,05,07,08:
Toru WATANABE (pee-wee marquette)
02,03,06,09,10:
Masao MARUYAMA (musique dessinee)



DIZZY GILLESPIE / BOSSA NOVA
(PHILIPS)


8月1日 ビーチへ
8月に入ってもすっきりしない天気でしたが、余りの蒸し暑さに耐えかねて、ビーチへ。ビーチでは真っ黒に日焼けした子供たちが楽しそうに遊んでいた。そうか、子供たちはもう夏休みなのね・・・。BGMはトランペット奏者ディジー・ガレスピーとギター奏者エレク・バシックが共演したボサノヴァ盤。オープニング曲「CHEGA DE SAUDADE」のイントロでは、海辺で戯れる子供たちの楽しげな声が聞こえてくる。まさに夏のビーチで聴くための音楽だ。


CHAKACHAS / ESO ES EL AMOR
(VOGUE)


8月3日 アーリー・サマー・フィーリング
8月に入ってもパッとしない天気が続いているのは、中々明けない梅雨空のせい?。暑さと湿気で不快指数も高い今日は、スカッと陽気なラテンを聴きました。南米的な熱さより、ヨーロッパ的な涼しさが心地良いので、ベルギーのラテン〜ファンクバンド、THE CHAKACHASの1977年の名作をチョイス。粘着質のグルーヴ感、メリハリの効いた演奏で、気分だけはアーリー・サマー。でも、青春系のメロと勢い&パンチ力に溢れた「CANALLA」で、結局テンションはアガり、気が付けば汗だくに。いよいよ夏なんですネ…。


FRANCK FERNANDEL / LAMOUR DE PLEIN ETE
(FESTIVAL)


8月5日 梅雨明け〜グラサン
いよいよ梅雨も明ければ、今度は暑さ対策に必死です。特に夏の日差しの下では、でっかいサングラスは必須アイテム。仏では比較的有名な俳優兼シンガー、フランク・フェルナンデルさんのグラサンは、大人の色気も感じさせる格好良さ。そんな風貌にもピッタリな、ミディアムテンポのメロウグルーヴに仕上げた「NEUD HEURES MINUIT」は、大人なグラサンに勝るとも劣らない涼しげなメロウグルーヴの秀作。安定したリズムに乗せ、エレキギターが歌い上げる、どこか儚い感じのメロディも上々です。


FERNAND MENDOZA Y SU CONJUNTO / YO
(TELL RECORD)


8月10日 ヨオ!
「ヨオ!」クラブで声を掛けられた。暗い中だったという理由もあるけれど、全く誰か思い出せない・・・聞いてみると高校時代の同級生だった。当時余り話しもしなかったが、向こうはよく分かったものだ。彼は最近DJもしているとのことで、スペインで録音されたレコードを見せてくれた。このレコードはスペインのFERNAND MENDOZAの1960年代のコンパクト盤で、スペイン製の活きのいいラテンナンバーが4曲収められている。


WALLACE COLLECTION / MY WAY OF LOVING YOU
(EMI)


8月15日 レイトショー
お盆は何もすることが無く、ひとりで映画館へ。たまたま上映していた『雨のエトランゼ』というフランス映画を観た。正直、映画のストーリーはほとんど覚えていなくて(女優ヴィルナ・リージは美しかったが)、バックでかかっていた音楽が何曲かかっこ良かった。その後、レコードショップでこの曲が収められているシングル盤を格安で入手。シタール入りグルーヴィーロック「MY WAY OF LOVING YOU」。サビの高揚感がたまらなくて、何度も繰り返し聴いている。


LES PARISIENNES / BOOM BANG-A-BANG (EN'NAGHAM)

8月18日 ボーダー×4
夏と言えば元気一杯に野外フェスもイイのですが、日焼けが苦手な僕は、涼しげな格好のオネエさん達が歌う、ラブリーなポップスを聴きに行くことにしました。フランスのジャズピアニスト、CLAUDE BOLLINGが手掛けた女性4人組のヴォーカルグループ、レ・パリジェンヌは、お揃いのボーダーワンピも涼しげで、ルックスもラブリー。そんな彼女達が、息の合ったハーモニーで聴かせる快活なボサノヴァの「ON RECOIT ON ENVOIE」は、程よい哀愁を感じさせるメロディも涼しく、心地良い気分になりました…。


RICHARD ANTHONY / NE BOUDE PAS (COLUMBIA)

8月20日 駄目な僕
仕事で失敗した。ビーチ・ボーイズの「駄目な僕」という曲が脳内でループしていたのだが、自宅に帰ってレコードを探してみても見当たらない。その代わり、駄目な僕を地で行くようなリチャード・アンソニーのピクチャースリーブを発見。冒頭の「NE BOUDE PAS」はデイヴ・ブルーベックの演奏でお馴染みの5/4拍子ナンバー「TAKE FIVE」。クリスチャン・シュヴァリエによるジャジーなバッキングにハモンドオルガンとフランス語のヴォーカルが素敵で、少し気が休まる。


LE GRAND MELLON / BABY, PLEASE DON'T GO (COLUMBIA)

8月26日 夏時間
梅雨が明けてからも曇天の日が続きましたが、今日は久々に夏っぽい天候に恵まれた。コロムビアに3枚のシングルを残しているルグラン・メロンのシングル盤に針を落とす。以前(2003年10月)紹介したことのありますが、この謎の女性シンガーのレコードにはハズレが無い。本作は1966年リリース。裏面「SUMMERTIME」はご存知ガーシュインのナンバーで、テオ・マセロのバッキングの元、ジャジーな3拍子で渋く決めています。


KEITH MANSFIELD/JOHN CAMERON / VOICES IN HARMONY (KPM)

8月29日 スウィート・サマー
長引いた梅雨のせいか、例年以上に短く感じた今年の夏。時にはエアコンが必要の無い夜もあり、心地良い夢が見れました。英国の名門ライブラリー、KPMの1125番は、KEITH MANSFIELD、JOHN CAMERONと言う豪華作家陣による夢のようなスキャット満載盤。男女のコーラスグループをFT.した夢見心地のハーモニーを満喫出来ますが、特に夜中の室温を程よく下げてくれるのは、エレピとストリングスを配したボサ「SWEET SUMMER」、そして、フワフワ幻想的なメロウチューン「HALF FORGOTTEN DAYDREAMS」。夢の中だけは涼しかったのです…。


SOCIETY OF SEVEN / SIMPLY OURSELVES
(SILVER SWORD)


8月31日 サマー・シンフォニー
気付けば今年の夏ももう終わり…。でもね、楽しかった夏の想い出は、感動的なメロディともにいつでも甦るモノです。まだまだ現役で活躍中と言うホノルルのステージバンド、SOCIETY OF SEVENの1972年の傑作のオープニングを飾る感動の名曲「SUMMER SYMPHONY」は、まさにそんな一曲。キラキラしたイントロから、歯切れ良く刻まれるリズムに乗せ、哀愁が滲むメロディを優しげなハーモニーで聴かせる彼等の歌声は、永遠の“夏の想い出”。きっと夏に聴かなくても感動デス。だって、それがホントの名曲ってモノだから…。