丸山さんはパーティ強化月間につき今月はお休みです。ピンチヒッターとして、昔からのミュージックフレンド、福岡の渡邊さんと「渡部×渡邊=WWコンビ」で今月のプロントをお送りしたいと思います。ちなみに渡邊さんのブログSilenta Popも要チェックですよ。

今月のテーマは「夏」。夏っぽいジャケット、夏について歌ったナンバー、夏に聴くのにぴったりなアルバムなどなど、夏向けのレコード・セレクションです。

Toru WATANABE (pee-wee marquette)

02,04,06,08,10:
Toru WATANABE (pee-wee marquette)
01,03,05,07,09:
Kenji WATANABE (Silenta Pop)



MORAVAGINE / MORAVAGINE
(PROMOPHONE)


のちにCHUTE LIBREというジャズロックグループを率いた仏のピアニストOLIVIER HUTMANなどを中心としたグループ唯一のアルバム。ジャズや民族音楽、ブラジリアンなど様々な音楽性が反映された楽曲が並ぶ中、アルバム冒頭の「FUNKY SEVEN」は、避暑地の海辺ではしゃぐ子供たちのSEからミュゼット、フルートやパーカッションなどを織り交ぜ転調を繰り返しながら進む怒濤のファンキージャズ。


HEINZ KIESSLING / THAT'S MUSIC!
(ELITE)


「THAT'S MUSIC!」・・・そのものズバリなアルバムタイトルは自信の表れなのでしょうか。これはドイツでオーケストラを率いてきたHEINZ KIESSLINGが1965年にリリースしたアルバム。曲はHEINZ KIESSLINGとWERNER TAUTZの合作で、いかにもヨーロッパらしいキラキラ艶やかなナンバーが収められています。真夏の地中海リゾートを思わせるアップテンポで軽快なラテンナンバー「LATIN CARNIVAL」が秀逸です。


PIERRE CAVALLI / JUNGFRAUJOCH... RIO DE JANEIRO
(TELL RECORD)


ジャズ畑〜サウンドトラックやライブラリーにも作品を残すスイスのギタリストPIERRE CAVALLIの楽曲が片面に収録されたスイスエアーのノベルティと思しきLP盤。ヴォーカル入りのボサやキャッチーなインストゥルメンタルのサンバなどすべて高水準ですが、特筆すべきは「POSSARINHOS」。アマゾンの密林のようなSEと強烈なドラムブレイク、哀愁を帯びたギターからスキャットサンバに転調するめくるめくアレンジが素晴らしい一曲。


LES SOURIS / DES SOURIS A LA CHAINE
(RCA VICTOR)


フランスの美人女性6人組の1969年にリリースされたコンパクト盤。この手の7インチ・レコードでは珍しい見開きジャケットで、RCAのこのグループに対する熱い想いが伝わってくるようです。内容はポップな楽曲に元気一杯な混声ヴォーカルが乗るスタイルで、LES PARISIENNESを彷彿とさせます。特に好みだったのはミディアムリズムのファンキーナンバー「LES GARCON-PAPILLONS」でしょうか。バッキングはARMANDO MIGIANI。


CLAUDE LOMBARD / L'AMOUR DE TOI
(DECCA)


ベルギーのシングル盤はなぜか2色刷りのスリーヴが多いですが、こちらはコンセルヴァトワール(パリ国立高等音楽学校)卒の才媛による一枚。素晴らしいアルバムを残していることでも知られていますが、こちらのシングル盤に収録の「TOUT FOU TOUT DOUX」はアコースティックギターの音色が涼しげなボサナンバー。挿入されるオーケストレーションとピッチコントロールの素晴らしい彼女のヴォーカルが印象的。


TOPO GIGIO / COSA DICI MAI (PATHE)

ムシ声の原体験は何だっただろうか…と思い起こしてみると、イタリア人形劇の主人公、トッポ・ジージョだった方も多いのでは?これは1960年代にリリースされたトッポ・ジージョのシングル盤で、本人(本ネズミ?)がムシ声で歌っている。B面の「GIGIO TWIST」がグルーヴィーですね。イントロはまぁ良くありがちなツイストなのですが、本人のムシ声が入ってきた瞬間、みんなが笑顔になること間違いないの楽しいナンバー。


CLAIRE CHEVALIER / TA MEDAILLE D'AMOUR (CBS)

マルセイユのラジオでデビューし、モーリスシュヴァリエに見いだされ名を授けられた後ブラジルに渡り画家になったらしいクレールシュヴァリエ。ボサ的なものも残している彼女ですが、このシングル盤も甲乙付けがたい素晴らしさ。「TA MEDAILLE D'AMOUR」は仏産らしくミュゼットが挿入される哀愁のワルツ。そして「MOI,LA FILLE DU MIDI」は軽いラテンテイストが涼しさを誘う、曲名どおり真夏の正午に聴きたいナンバー。


MARIA VALASCO / UNE AMERICAINE A ST GERMAIN DES PRES (GUILDE DU JAZZ)

アメリカの女流ピアニスト&ヴォーカリスト、マリア・ヴェラスコ。彼女は1950年代にパリに渡り、フランスのジャズマン達と吹き込んだ音源を収めたのが本作。決してクラブ受けする派手な音ではないし、彼女のヴォーカルも超絶技巧とは言いがたいのですが、とてもよい雰囲気のエスプリ漂う素敵なジャズヴォーカルに仕上がっています。フランス語で歌う「CIEL DE PARIS」は、スロウとアフロキューバンが絶妙に交錯する名曲ですね。


SUE VICKERS / TAKE ME WITH YOU (THRESHOLD)

イギリスのプログレッシヴロックバンドであるムーディブルースが運営するレーベルからの一枚は、マンフレッドマンのメンバーとして知られ、プロデューサーとしても活躍したマイクヴィッカーズの前妻による素晴らしいボサ風ソフトロック。英国産というよりは、どこかクロディーヌロンジェを彷彿とさせるウィスパーヴォイスとアレンジがA&Mを代表とする米国産のような印象を受けます。もちろんマイクヴィッカーズのディレクションによるもの。


GIANNI MORANDI / DICIOTTENNI AL SOLE
(EMI)


夏がくるといつも思い出す映画がある。イタリアの避暑地を舞台にした映画『太陽の下の18歳』。主演のカトリーヌ・スパークが海辺で踊るシーンで流れていた「GO-KART TWIST」がいいですね。曲をエンニオ・モリコーネが手掛け、歌をジャンニ・モランディが歌った、まさにゴーカートで疾走するようなツイストナンバー。逆サイド「DONNA DA MORIRE」は、序盤はありがちなマンボなのですが、間奏辺りからハープシコードが暴れだしてヤバイです。