子供の頃、雪の結晶にとても興味があって、雪が降ると小さな顕微鏡を家の外に持ち出して、雪の結晶を観察していた。いつの間にかこの雪結晶ブームも去ってしまったのですが、最近「SNOWFLAKE」という雪の結晶の本が出ているのを知って、ブームが久々に再来。自然の生み出した雪の結晶の黄金率、本当に美しいです。

今月のお題は「雪」。雪にまつわるレコードやアーティスト、雪の降る日に聴きたいレコード、さらに解釈を広げて白に関係したレコードのセクションです。

Toru WATANABE (pee-wee marquette)

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Toru WATANABE (pee-wee marquette)
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Masao MARUYAMA (musique dessinee)



ANNIE JEANNE / ANNIE JEANNE
(UNIDISC)


フランスのウィスパリング・ビューティー、ANNIE JEANNEの1978年リリースのアルバム。プロデュースはBERNARD GERARDという人物。基本的にアコースティックなサウンドなのですが、1978年リリースということで、やわらかな音色のアナログシンセサイザーをフィーチャーした曲も多い。特に素晴らしいのがアルバム冒頭の「VAYA」。疾走感のあるしなやかなブラジリアンリズムの彼女のアンニュイな歌声が重なって、これは踊れますね。


ANDRE ZIMMA / TIME EXISTS IN MEMORIES
(SWEDISH BRANDY)


ベルリンを拠点に活動を続ける二人組、ANDRE ZIMMAがスウェーデンのレーベルからリリースした素晴らしくイイ曲「TIME EXISTS IN MEMORIES」を収録した12'。基本的には別名義の活動でも顕著な様に、いわゆるピコピコ系のダンスミュージックの人かと思われるのですが、THIEFと言う男性VO.が歌うこの曲は優しさに溢れたメロディが最高な普遍の一曲。シンプルな打ち込み、軽やかな電子音の上で繰り広げられる夢見心地のひと時に言葉は要りませんネ…


MICHELE TORR / CE SOIR JE T'ATTENDAIS
(MERCURY)


暖炉の前でコチラを見つめるポーズが決まってます。これはフランスの女性シンガー、ミシェル・トールのコンパクト盤(1967年)。タイトル曲「CE SOIR JE T'ATTENDAIS」は、フィフス・ディメンション「UP UP AND AWAY」のようなリズムの爽快感溢れるソフトロックナンバーです。バッキングはLES REEDが手掛けている。どうやら1966年のユーロヴィジョンコンテストでグランプリを受賞した作品らしいので、有名な曲なのかな?


THE PEARLFISHERS / A SUNFLOWER AT CHRISTMAS
(MARINA)


「雪」と言えばクリスマス。ヒジョーに安易な発想ですが、その日が近づくと、何故かそう思わせてくれます。街に溢れる耳慣れたクリスマス・ソングの数々も、年に一度位なら許せてしまいます。ただ、中には年中聴いててもOKなクリスマス・ソングもあります。グラスゴー新世代のポップ職人、DAVID SCOTT率いるTHE PEARLFISHERSのクリスマス・アルバムはそんな一枚。いつでも楽しめるのそのメロディは、季節外れの心地良い雪のようデス…


ROSALIA / SI LLEGARA EL AMOR
(BELTER)


先々月にLULUの「ARE YOU READY FOR LOVE」を紹介しました。この曲はALAN HAWKSHAWの作った曲の中でも屈指の名曲ですね。本作はこの曲のスペイン語ヴァージョン「SI LLEGARA EL AMOR」。ロサリアというスペインのフォトジェニックな女性シンガーによるシングル盤(1969年)に収められています。このヴァージョンは、スペイン語の語感も含めて垢抜けてないアレンジがスペインらしくて良い感じではないでしょうか。


CLAUDIO RODITI / GEMINI MAN (MILESTONES)

ブラジルはリオ・デ・ジャネイロ出身のトランぺッター、CLAUDIO RODITIの1988年のUS録音作品。ブラジルと言えば、どちらかと言えば「暑い」イメージで、「雪」にはあまり縁の無さそうな感じですが、本作の聴きどころは自身のヴォーカルも披露しているメロウな逸品、その名も「SNOW SAMBA」。アルバム全体に貫かれた程よくアーバン&アダルトなムードと相まって、情緒豊かな音色を響かせています。妙な奥ゆかしさを感じます。


ROMUALD / L'ETRANGERE (DISC AZ)

雪の様に白い肌をもつ美しい女性のジャケット。セルジオ・ゴッビ監督のフランス映画『幸福の行方(L'ETRANGERE)』のサントラ・コンパクト盤(1967年)。音楽はROMUALD、アレンジはJACQUES DENJEANが手掛けているところから、モッド&ファンキーな作風を期待するのですが、A-2「JERK POKER」というタイトルも最高なナンバーに出会うことができました。ボッサ風のリズムにハモンドオルガンが派手に暴れまくる一曲です。


DISLOCATION DANCE / CROMER (VINYL JAPAN)

ネオアコ好きにはボサジャズ風味の名曲「YOU'LL NEVER NEVER KNOW」が有名な、マンチェスター出身のグループ、DISLOCATION DANCEの通算4作目にあたる2005年作。トランペットをFT.したジャジーで爽快なサウンドはそのままに… と言うかあまりに変わらない作風とクオリティに驚かされます。洒落たジャズ風味のオープニング曲「SANCTUARY ON A TRAIN」、青メロの「CROMER」など、ここまで来れば立派な職人ですね…


LONETTE MCKEE / LONETTE (SUSSEX)

女優ロネット・マッキーの1974年のアルバム。女優のアルバムにありがちな素人感覚は無く、存在感のあるソウルフルなヴォーカルが聞ける。たぶん本格的なヴォイストレーニングを積んで来た人なのだろう。バッキングでもデヴィッド・T・ウォーカーやラリー・カールトン等が参加している。全体的にソウル〜AOR風味の作風が続く中、決定的な名曲が「DO TO ME」。軽いシャッフル調のソウルフルなナンバーで、テリー・キャリアの「ORDINARY JOE」に酷似している。


ICE / CHIC-EE BOOM BOOM
(KEDZIE RECORDS)


熱心なヒップホップ好きには定番ブレイク「HIHACHE」と言う曲が有名な、LAFAYETTE AFRO ROCK BANDの名前でも知られるグループ「ICE」の傑作7'。活動の拠点をフランスに置いていた(と思われます)せいか、ただゴリゴリしたサウンドって訳では無いソウルフルな音作りが良い感じです。「雪」の「冷たさ」も極まれば、逆に「熱く」なってしまう。彼らの程よいファンキーサウンドを聴いていると、そんな事を考えてしまいます…