ROK-SEY
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「第15回 ワルツでも聴いてみよう」
「うーたにねがーいを こーめてうたーえーばー ひーろばでまーちーでーこうえんでー」。多分ぼくが最初に歌ったであろうワルツの曲です。みなさま、こんばんわ。そして冒頭からJASRAC様ご勘弁下さい。今回はワルツについて、ちょこっとです。お付き合い宜しくお願い致します。さて、冒頭の音痴な歌は、映画「オリヴァー」のなかの「うんぱっぱ」もしくは「ウム・パ・パ」と言う曲なのですが、「ワルツ」って言葉は聞いたことあるけど、実際なぁに。と言う方は、この曲の「うんぱっぱ」の部分を繰り返して歌って頂けると良いかなぁと。「うんぱっぱ」「うんぱっぱ」「うんぱっぱ」「うんぱっぱ」「1,2,3」「1,2,3」「1,2,3」「1,2,3」・・・。と言うわけで、音の一つの塊(小節)が3つの音から出来てる楽曲の事をワルツと言います。3/4ですね。3/4と言うのは1つの小節の中に四分音符が3つと言う意味です。1/4 X 3つ。ですので3/4。そしてその倍数、6/8(これは小節内に八分音符が8つと言うことでございます)もワルツとされています。あとですね、「うんぱっぱ」が表すように、「うん」のところ、1拍目に強調があることが多いです。他の細かいことはここではパス!。まぁ、大半の方は「知ってるよ。3拍子でしょ。」とご存知だと思います。と言う訳で、小学生のとき習った、指揮棒を三角に振るリズム。これが3拍子でありワルツです。

「ワルツ」。さてウキペディア大先生を見てみると「ワルツ(英:waltz, 仏:valse)または円舞曲(えんぶきょく)とはテンポの良い淡々とした舞曲、及びそれに合わせて踊るダンス(⇒ワルツ (ダンス))のことである。」とあります。ちょっと面白いですね。え。大して面白くない?。はい。と言う事で、「ワルツ=3拍子」と言う訳ではないんですね。元々はある特定のダンスのことで、このダンスをワルツと言い、このダンスの時にかかっていたのが3拍子の曲だったと言う事で「ワルツ=3拍子」となったようですね。まぁ、チャチャとかルンバとかロンド諸々、音楽の種類とダンスの種類は同じ括りで語られますもんね。改めて納得。

と言う感じでですね、ワルツというのは現代の音楽論が出来る前から存在していた音楽を基にしてますので、現代に出来た「コード」にはなかなか馴染みにくいものであります。と言う訳で、しつこいようですが「モード」を取り入れた楽曲が多いですね。これは、先に述べた「コード」と言う概念がある前から存在する音楽形式である、と言うのも理由の1つかと思うのですが、音数が「3つ」と少ないことも大きい理由の1つです。4拍子と比べて1つしか変らないのですが、3つだとなかなかコード的音階をつけたりコード展開していくのが大変。それよりもモードを用いてワルツ・ナンバーをプレイすると良い雰囲気が出るんですね。と、地元のバクリー出身の先輩が言っておりました。すみません。

ジャズで考えてみると、まず思いつくのが56年にMAX ROACHがワルツ・タイムだけのアルバム「JAZZ IN 3/4 TIME」を録音しました。ジャズは4ビートだと言う時代に、ビート的感覚からROACHがワルツに注目した作品です。そして、音階的フィーチャーしたのはどれが初出か、と言うのは追いきれないのですが、やはり代表作として挙げられるのはJOHN COLTRANEの61年作「MY FAVORITE THINGS」ですよね。あの「京都にいこう」のCMでお馴染みの楽曲です。「ワルツとモード」と言う概念を聴く者に植え付け、更にはソプラノ・サックスの美しい響きで「ワルツとモードとソプラノ・サックス」と言う方程式を生み出した楽曲でもあります。

「でもあれだよね、なんだか変拍子はフロアでは受けが悪いからね。」なんて哀しいことは言わずに、ね。ワルツ=ダンスですから。クラブ・シーンではクラシックとして知られるモーダル・ワルツ・ジャズが多くありますが、かなり渋いものばかり。だれが踊るんだ?。なんて身も蓋もないことを思いますが、それこそDINGWALLS時代から、メイン・フロアはもちろん、アフター・アワーズ・チューンとして、そしてラウンジでのチル・ミュージックとしてクラブではお馴染みです。ね。ね(哀願)。

モードとワルツの蜜月についてはちょっと触れさせて頂いたのですが、第2回から第4回の「モーダル・ジャズ特集」で挙げさせて頂いた楽曲は、半分以上がワルツ・ナンバーや変拍子(未確認)。ワルツ好きの方も改めてチェック頂ければと思います。まぁ、ぼくが大好きなワルツ・ナンバーは既にご紹介済みであったり、変拍子についてはまた今度お時間を頂きたいなぁなんて思いつつ、今までご紹介出来ていないワルツ・タイムの素敵なナンバーを。と言ってもアルバム1枚に1つはステキなワルツがありますからね。とりあ、今、ぱっ。と、思いつくもので。でも、「LITTLE NILES」とか「いつか王子様が」とかは、マスト!。と言う感じで、クラブ・ジャズ・クラシックの軽くオブスキュア方面に目を向けて幾つか挙げさせて頂きます。



それでは以上。お付き合いありがとうございました!。




DICK GROVE ORCHESTRA: LITTLE BIRD
(LP: LITTLE BIRD SUITE - PACIFIC JAZZ USA 1963)


PETE JOLLYの「LITTLE BIRD」をビッグ・バンド・スタイルでカヴァーしたもの。一応、クラブ・ジャズ・クラシックとされたてたりします。2分少々と短いので残念ですけどイイですよぅ。「BIRDS OF PARADISE」というモーダル・ビッグ・バンド・ジャズも収録されてます。
VICTOR FELDMAN: NEW DELHI
(LP: A TASTE OF HONEY AND A TASTE OF BOSSA NOVA - INFINITY USA 1964)


モーダル・ワルツ・クラシックのこの曲「NEW DELHI」はJAMES CLAYやCANNONBALL ADDERLEY名義のアルバムで彼も共演してますが、こちらはイージー・リスニング要素も濃い自身のアルバムで。VEE-JAYからの「LOVE ME WITH ALL YOUR HEART」と同内容で、多分こちらがオリジナル盤。
DON MENZA: CINDERELLA’S WALTZ
(LP: MORINIG SONG SABA GERMANY 1965)


SABA諸作の中でもかなりの好内容だと思います。ビッグ・バンドを得意とするテナー奏者の自身名義でのファースト・アルバム。その中でもベスト・トラックなのがこの「CINDERELLA’S WALTZ」。4管フロントでダイナミックにスウィングしつつも、ワルツらしい可愛らしさもありつつステキ。
RITA REYS: WIVES AND LOVERS
(LP: MEETS OLIVER NELSON - MERCURY HOLLAND 1965)


BACHARACHのこの超名曲は、ROY HAYNES、CLARKE BOLAND SEXTETT、DEITER REITHなんかのヴァージョンがクラブ・ジャズ的にも有名ですが、OLIVER NELSONの元、SAHIB、BAILEY、KONITZ等の渡欧組と、現地JACOBSやNOORDIJIKと録音したこちらもクラシックとして知られております。
MICHAEL GARRICK SEPTET: URUSULA
(LP: BLACK MARIGOLDS - ARGO UK 1968)


RENDELL CARR QUINTETのメンバーにJOE HARRIOTとTONY COEをフロントに加えて、「PHASE 3」と同年の録音。それこそRENDELL CARRバンドらしい陰鬱な雰囲気のワルツ・ジャズ。アルバムのほかの曲では自身のリーダー作と言うことでハプシコードやポエットなど用い、より彼らしい作風に。
THE HARRY SOUTH BIG BAND: NEWTYME WALTZ
(LP: RETROSPECT - PHILIPS UK 1968)


BBCの「JAZZ CLUB」の21周年と言うあまりキリの良くないお祝いですが、ここにUKのコンポーザー/コンダクターHARRY SOUTHが2曲参加。メンバーはTUBBY HAYESやGORDON BECK等。ダイナミックなビッグ・バンド・ワルツ。もう1曲はDICK MORRISSEYも取り上げた「STORM WARNING」。
THE CITY: SNOW QUEEN
(LP: NOW THAT EVERUTHING’S BEEN SAID - ODE USA 1968)


いつの間にかジャズばかりですけど、ワルツ・ナンバーと言えば「SNOW QUEEN」は外しちゃダメです。CAROLE KINGによるバンドの唯一のアルバムから。ソングライターとしては成功しつつもシンガーとしては挫折、そして離婚。それを経ての1からのスタートと言う、彼女の等身大の音楽。
NATHAN DAVIS QUARTET: UP JUMPED SPRING
(LP: JAZZ CONCERT - EDICI FRANCE 196?)


FREDDIE HUBBARDのカヴァーです。優しいメロディーとちょっと激し目のインプロ。ソプラノのひらひらとした舞い具合もMIKE WESTBROOKの「WALTZ」あたりを思わせるような。でいてもっとメロディアス。もう1曲のワルツ・ナンバー「USCHIMAUS」はフルートで。いいアルバムです。
DUSKO GOJKOVIC: OLDFISHERMAN’S DAUGHTER
(LP: SLAVIC MOOD - VISTA ITALY 1974)


このアルバムいいですよね。他の曲も最高です。「OLD FISHERMAN’S DAOUGHTER」について、小西さんのHP「columbia readymade」内で駄文を寄せさせて頂きましたので寝付けない方は是非!。RCA傘下のVISTAですが他の作品ってどうなんですか?。RAVAのは有名ですが、他のもいいのかなぁ。
THE LONDON EXPERIMENTAL JAZZ QUARTET: TIME IS OF THE ESSENCE
(LP: INVISIBLE ROOTS - SCRATCH CANADA 1974)


KON & AMIRがコンピに入れていたファンキーなベース・ラインの「DESTROY THE NIHILIST PICNIC」収録のオブスキュア・カナディアン・ジャズ。基本、前衛ジャズで、「TIME IS OF THE ESSENCE」もアグレッシヴなワルツ・ジャズ。ちなみにバンド名の「LONDON」はカナダのオンタリオ州の地名です。
PER HUSBY SEPTETT: THE PEACEMAKER
(LP: PEACEMAKER - PLATESELSKAPET NORWAY 1976)


「ふーん。PEACEMAKER?・・・LANDじゃん!。」と言う訳でHAROLD LANDのアルバム(第2回でご紹介させて頂いた)「PEACEMAKER」のカヴァーです。ナイス。北欧らしいさらっとした切り口もこれはこれでいいです。他の曲もさらっとしたハードバップと言った感じで北欧ジャズが好きな方は是非必聴。
RICHIE COLE: WALTZ FOR A RAINEY BEBOP EVENING
(LP: TRENTON MAKES THE WORLD TAKES - PROGRESSIVE USA 1976)


フュージョン的な作品のイメージが強いですが、これは彼のデビュー作で実はかなりの隠れ名盤。この中でのワルツといえば、MUSE盤で歌つきでカヴァーされるこちら。で「マイナー・レーベルに残された・・・」って思ってたんですけど、PROGRESSIVEなんですね。PROGRESSIVEは何気にいいレコード多いなぁ。
HENRI BYRS: BLUESETTE
(LP: JEUX DE MAINS - FROGXY FRANCE 1981)


モダン・ジャズ・ファンに人気のピアノ・トリオ作。「MISSION IMPOSSIBLE」のカヴァーとかHENRI SALVADORの「BLUOUSE DE DENTISTE」のカヴァーなんかも演ってます。ここではワルツ定番曲「BLUESETTE」のカヴァーを。この人CHARLES AZNAVOURの歌伴の方で、曲も提供したりしてます。
PHAROAH SANDERS: HEART IS A MELODY OF TIME
(LP: HEART IS A MELODY THERESA - USA 1983)


COLTRANEの死後、「THE CREATOR HAS A MASTER PLAN」で築いた大らかなスタイル。本作では「HEART IS A MELODY OF TIME」。このアルバムはライヴ盤なんですけど、この曲、ヴォーカルは後からオーヴァー・ダビングされたものなんですよね。ガヤからテナーが入る瞬間から、もう最高です。



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▼編集後記

オルガンバー所属。常連。ヒロセダイスケ。


みなさん忙しいですかー。ぼくは忙しいです。オルガンにもまったく寄れず、こちらの寄稿も遅滞気味。萩原先生の心境の爪の先くらいは理解できた気がします。と「BASTARD」再評価の波が甚だしい廣瀬です。なんか酷評が目立ちますが「天使編」好きです。あと「らんま1/2」ね。最高。後ですね、私が勤めていますダンス・ミュージック・レコードで気合を入れて国内配給しているCLARKE BOLAND関係のコラムをお家に帰って夜な夜な書き上げました。日本国内では彼らをここまでご紹介しているページもないのでは、と言うレヴューとなっておりますのでこちらも是非。ありがとうございます!。皆々様、ありがとうございます!。ひぃ〜。
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