ROK-SEY
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第14回「BILLY HARPERとHANNIBAL MARVIN PETERSONでも聴いてみよう」
みなさま、こんばんわ。なんか最近はDVDを借りて映画を観てます。映画を観るのって苦手だったんです。2時間の時間を取られるのって億劫で。音楽と違って「ながら」が出来ないじゃないですか。時間無いし。でも、毎晩、芋ロック片手に通販番組or放送終了後の環境テレビ見ながら酩酊。な自分に気付いたのでDVDでも借りようかなぁと。それなりに楽しいです。さてさて、全然関係ない前置きは置いといて、今回はBILLY HARPERとHANNIBAL MARVIN PETERSONについてちょこっとです。それこそ、同じサックスとトランペット奏者でも、COLTRANEとMILESとか、BASSOとVALDAMBRINIとか、JAEDIGとBOTCHINSKYとかの方がよっぽどキャッチーなのは十分承知しておりますが、敢えてBILLY HARPERとHANNIBALのお2人を。まぁ、敢えてと言いますか、JAEDIGとBOTCHINSKYとかご紹介できるほど所持しておりませんし、我ながらつまらんとも思いますが、何卒宜しくお願い致します。

多くのジャズ・ファンにとっても2人の印象は、楽器が異なりながらも近しい印象を持たれている方が多く、また、そのような評価を得ている方であります。70年代から頭角を現し、両者ともGIL EVANSのバンドに参加。アメリカではサイドメン以外の録音が少なく、日本やドイツ、イタリア等のヨーロッパにて主に活動。スピリチュアルな作風で知られ、ストイックにジャズを追求。まぁ、よく言えばストイック。悪く言ってしまうとカタブツ。ですので、一部の巨匠以外のストイックな作品以外は受け付けなかった70年代アメリカのジャズ・シーンでは地味な彼らは受け入れられるスペースが限られており、海外での活動がメインとなっていくのでした。と言うのも相変わらずのざっくりとした語り口でして、アメリカでも活動はしておりますので、あくまでもざっくりと。でお願い致します。COLTRANE亡き後、そしてMILESもSHORTERも電化した後、メインストリームのジャズ界を背負って行く若手として注目されていたお2人です。それこそジャズ喫茶で信望が厚かったというお話も想像に易い訳です。

さて、2人のパーソネル。
まずは、BILLY HARPER。テナー奏者で、アメリカで不遇。的なことを前述致しましたが、GIL EVANSやSAD=MELバンド、MAX ROACH、MESSENGERS、LEE MORGAN等と活動し録音も多く残しています。デビュー作はSTRATA-EASTからの「CAPRA BLACK」。32歳と遅咲き。現在も現役です。

そして、HANNIBAL MARVIN PETERSON。
HANNIBALはあだ名。トランペッター。ハイノート・ヒッター。この時代のスピリチュアルなトランペッターと言うとなかなか浮かんでこない。TOLLIVERとかSHAWとかCECILとかですか。楽器の特性もあるのでしょうが、PHAROAHを代表するあのダーティー且つ攻撃的な音、はたまた木管的な優しい音色も無い。それを彼はブロウするハイノートで表現したアーティスト。現在はロクンベさんという名前で活動中。

詳しくは、小川さん監修の「JAZZ NEXT STANDARD」の「SPIRITUAL JAZZ編」をご覧頂ければと思います。あ。前にもあれですけど、別にスピリチュアルだからって構えないで下さいね。MILESに「黒いのは好みじゃなけどMILESTONESいいですよね」とか言ったら確実にヤられます。でも、そこまで「MILESTONES」に黒さがないのも事実じゃないですか。だから、スピリチュアルとかブラックでカテゴライズされてるからって・・・って前にも書かせて頂きましたっけ。

やはり、クラブ・ジャズはフロアで踊れないとっ。と言う方には、一部の作品を除いてあまりお薦めできないかもですよね、このお2人。まぁ、先述の通りカタブツですから、つまらないといえばつまらない。と、身も蓋も無いこと言いましたけど。いや、僕は大好きなんですよ。かなりね。で、マイナー・リリースでもあったHANNIBALの「THE CHIRDLEN OF THE FIRE」にも当時の日本盤があるんですよね。DMRで色々ご教授頂いた先輩の富田さんがわざわざ写メで送ってきてくれたんですけど、そのレコードの帯文が「野球はヤクルト。ジャズはハンニバル。」とか言うもので。どう捕らえてよいのか分かりません(笑)。まぁ、レコード屋さんで安く見つけて、お家で聴いて、「ふーん」とか思って頂く程度でOKかなぁと。で、たまに引っ張り出したりして、お酒のお供にして頂いて、そこでまた「ふーん」って思って頂ければいいかなぁなんて思うんです。で、酒が旨かったら最高じゃないですか。ね。と言う感じなのですけど、如何でしょうか。一部の作品はおいといても、いつか高騰するようなレコードでは決して無いのですが、でも、彼らを完全に無視して「ジャズってさぁ」とか語れないアーティストでもあります。いや、語れなくもないんですけどね、全然。なんですかね。どうしよう。

まぁ、そんな感じで、サイドメンでの参加作も含めまして幾つかの代表作を以下に。



以上、お付き合いありがとうございました!。




GIL EVANS / SVENGALI
(1973 ATLANTIC - USA)


HARPER、HANNIBALとも参加した作品。MILESとの諸作で知られるピアニストのEVANSは、70年代にはコンダクター、アレンジャーとしての際を発揮するビッグ・バンド作が多いです。ここでHARPERの楽曲を2つ取り上げてます。その内1つは、STRATA-EAST盤のハイライトの「CRY OF HUNGER」。
BILLY HARPER / CAPRA BLACK
(1973 STRATA-EAST - USA)


で、こちらがHARPERのデビュー作となったSTRATA-EAST盤。A面の出来もいいですが、コーラスをフィーチャーしたB面が最高。「CRY OF HUNGER」でのアグレッシヴなパートの後に訪れる「THERE’LL BE ENOUGH SOMEDAY」と繰り返される女性コーラスは、嵐の後に雲間から差し込む光のように安らか。
HANNIBAL MARVIN PETERSON THE SUNRISE ORCHESTRA / THE CHIRDLEN OF THE FIRE
(1974 SUNRISE - USA)


HANNIBALのデビュー作。ベトナムの子供たちに掲げた「戦火の子供たち」と言う題。ストリングスも加えた大きな編成。組曲的な作品の冒頭「FORREST SUNRISE」が素晴らしいです。うねるグルーヴながらも美しく、後半の朴訥としたヴォーカルはARCHIE SHEPP「ATTICA BLUES」にも参加のWAHEEDA MASSEY。
BILLY HARPER / BLACK SAINT
(1975 BLACK SAINT - ITALY)


HARPERがヨーロッパ公演を行った際に録音された1枚。その重要性と言うのを感じられるのが、このアルバムがイタリアのSOUL NOTE傘下に設立されたレーベルBLACK SAINTの第一弾であり、レーベル名もこのアルバムと同名。このレーベルはその後、多くの米ブラック・ジャズメンを含む作品をリリースして行きます。
THAD JONES MEL LEWIS AND THE JAZZ ORCHESTRA / MEETS MANUEL DE SICA
(1976 PRODUTTORIASSOCIATI - ITALY)


HARPER参加。こんないいアルバムが安値でころころ転がってるもんだから困る。困らない。ロンドンとペルージャでのライヴ録音。バリトンが痛快な「BRASSERIE」、スキャットもスウィンギーな「SING」、一際スピリチュアルな「FOR LIFE」は、フルートとの掛け合いスキャットを聴かせるDEE DEE BRIDGEWATERも絶品。
HANNIBAL MARVIN PETERSON / HANNIBAL IN BERLIN
(1977 MPS - GERMANY)


HANNIBALのベルリン・ジャズ・フェスティバルでのライヴ録音。ここではオリジナルの「THE 23RD PASLAM」と「MY FAVORITE THINGS」のカヴァー。特に後者はGEORGE ADAMSのブリブリとしたソロとHANNIBALのハイノートの掛け合いはかなり熱い。マイ・フェイヴァリット「MY FAVORITE THINGS」。
MAX ROACH QUARTET / LIVE IN TOKYO VOL.1
(1977 DENON - JAPAN)


ROACHの来日公演盤。HARPER参加。「LOVERHOOD (SORAHN-BUSHI)」で披露した「TRYING TO GET READY」の別ヴァージョン「CALVARY」を収録。ピアノレス・カルテットでの演奏で、ドラムとベースの重厚なリズム、CECIL BIDGEWATERとのフロント。HARPERのCOLTRANE節は本家を超えた感あり。凄い。
HANNIBAL AND THE SURISE ORCHESTRA / THE LIGHT
(1978 BAYSTATE - JAPAN)


HANNIBAL作品としては、日本盤なのであれですけど、世界的に見たら最も重要作且つレアなんじゃないかと思います。フィーチャーしたコーラス、そしてDIEDRE MURRAYのチェロも相変わらず素晴らしい。「TO FIND THE PATH」から続く「TO SEARCH THE INNER WORLD」、ラストの「THE LIGHT」とまさに荘厳。
HANNIBAL MARVIN PETERSON / NAIMA
(1978 東芝EMI - JAPAN)


A面には「NAIMA」を。B面には「IN A SENTIMENTAL MOOD」のカヴァーを収録です。いつものSUNRISE ORCHESTRAからはDIEDRE MURRAYをA面にフィーチャーし、KENNY BARRON等がバック。やっぱり「NAIMA」でしょうか。DIEDRE MURRAYのアルコはHANNNIBALのハイノートを引き立たせる功労者。
BILLY HARPER / THE BELIEVER
(1980 BAYSTATE - JAPAN)


3曲のタイトルが問いかけとなっていて、その答えが「THE BELIVER」と言ったところでしょうか。ゴリゴリとした「IS IT NOT TURE, SIMPLY BECAUSE YOU CANNOT BELIEVE IT?」、ワルツ・タイムの「I DO BELIEVE」に、オフ・タイム進行の「BELIEVE, FOR IT IS TURE」。泣きのHARPER節としては最高峰。
BILLY HARPER QUINTET / DESTINY IS YOURS
(1990 STEEPLECHASE - DENMARK)


最近はデンマークで活動することも多いようです。それは、STEEPLECHASEで初吹き込みとなった本作に端を発します。STEEPLE側が15年前、75年からオファーし続けてようやくかなった録音とか。EDDIE HENDERSON他、サイドメンも基本的にはアメリカから。本作を含め、現在も変らないHARPER節であります。



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▼編集後記

オルガンバー所属。常連。ヒロセダイスケ。


HARPER、HANNIBAL。最高なんですけど、今月は、「+1」「GAME」「キラキラ!」。どれも最高なアルバムです。先月はオルガンのZEN LAさんのイヴェントで、学年は違えど中・高と同窓のLATIN QUARTERさんがゲストでしたのでグッド・グルーヴに呑まれて頼まれもせずに酩酊しました。酩酊リピート機能が働いて同じ発言を繰り返してたのは覚えてます。すみませんでした。適当に井土ヶ谷の安楽亭辺りで呑みましょう。誘ってください。「さて勉強をしよう。8点。」と1年位前に書いてから、って誰も覚えていらっしゃらないかと思いますけども、普免のみの私が、初級シスアドと簿記3級をゲットしてみました。1ヶ月で受かる方法を伝授致しますので家庭教師で雇って下さい。お給料はレコードかドリンク・チケットが嬉しいです。宜しくお願い致します。では〜。
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