ROK-SEY
 line
第13回「KARIN KROGでも聴いてみよう」
みなさま、こんばんは。ヴォーカリスト編第2回で御座います。前回のヴォーカリスト編ではNORMA WINSTONEを挙げさせて頂いたのですが、今回は北欧の歌姫KARIN KROGです。宜しくお願い致します。アルバム単位でのクラブ・ジャズ・クラシックとしては、アルバム「JOY」、そして「WE COULD BE FLYING」が知られている彼女。まずは、そのパーソネルからご紹介です。

彼女は1937年にノルウェーはオスロに生まれた今も現役の女性シンガーです。地元ノルウェーやスウェーデンなどの北欧で、まず彼女はEPを数枚リリースします。初期の頃は「KARIN KROGH」と「H」付で活動しており、JAN GARBAREK やJON CHRSTENSEN 等のノルウェー陣と録音。64年にフランスにて行われたジャズ祭で世界的注目を浴び、同年にファースト・アルバム「BY MYSELF」を発表。67年に渡米した際にはDON ELLISのバンドに参加して作品を残しています。渡米がらみで言えば70年にはサド=メル・バンドにも参加。この時の録音はあるのかな。で、なんかその後にBILLY HARPERの作品にゲスト参加とかあれば絶対面白かったんですけどねー(願望)。もとい。で、基本は北欧を中心とした活動ながら、世界各国で多くの賞を受け、アメリカの有名ジャズ誌「DOWN BEAT」にて、各部門でのヨーロッパのポールウィナー(1位)を獲得したジャズメンによるバンド、EUROPEAN JAZZ ALL STARSにも参加。このバンドでは70年の大阪万博の際に来日しライヴを披露しています。KARINさんは75年にも来日していますが、その際は「MISTY」での即興ライヴのみであったとか。ほぼ全てのアルバムに日本盤が存在するように(私も日本盤で所持してるものが多いのですが)、日本での人気も高いアーティストであります。

そんな彼女の魅力と言えば、その歌声、その前衛的な姿勢。その辺は、先述させて頂いた2枚のアルバム、「JOY」と「WE COULD BE FLYING」から紐解いていきたいと思います。まずは「JOY」なのですが、なんといってもここに収められている「MAIDEN VOYAGE」のカヴァーの凄さ。ノルウェーのジャズメンによるバックなのですが、盟友JAN GARBAREKの実験性も手伝っているのでしょうか。ディレイ、リヴァーヴ掛けまくりのバックに、KARINのヴォーカルがエコー掛かって入ってくるイントロからしてキテル度満点。そしてKARINのヴォーカルと共に、ずしんと重い「MAIDEN VOYAGE」が繰り広げられていきます。そして「WE COULD BE FLYING」ですが、彼女の作品の中でレアな1枚として知られており、当時の日本盤どころか、近年のP-VINEさんのリイシューでさえ高値。ただのリイシューで終わらせない、ぐぐっと突いてくるP-VINEさんには毎度リスペクトな訳です。で、「WE COULD BE FLYING」ですが、バックのリーダーであるピアニストのSTEVE KUHNの存在。「MEANING OF LOVE」や「RAINDROPS, RAINDOROPS」の彼も自作で取り上げる事になる楽曲を提供しており、本盤の作風を引っ張っています。彼のプロデューサーとしての力量を測り知るには、本作同様に全面バックアップ、プロデュースによるMONICA ZETTELUNDの「CHICKEN FEATHER」(こちらも名盤!)をお聴き頂ければ、本盤「WE COULD BE FLYING」との近似値を見出せるかと思います。KUHNとの名コンビSTEVE SWALLOWのベースもかなりいい。また、こう言ったアーティストを選ぶ彼女の前衛性というのも計り知れますよね。JOHN SURMANとのタッグ然り、当事「ニュー・ジャズ」と呼ばれたフリー・フォームに近い作品群も然り。また、ファーストで聴かせるスキャット・ワークで、まるでトランペットのような音色を出す彼女にはびっくりしたもんです。そして、しっとりと聴かせるスタンダード諸作にもうっとりときたもんです。そのような前衛的な歌唱法を披露しつつも、バラード等ではどこかアンニュイなスモッグ掛かったな歌声を披露している彼女で御座います。

ちょっと何処かで書かせて頂いたんですけど、前進無くしてジャズは存在せず、また、リスペクト無くしてジャズは存在しない。音楽全般についても然り。それが自分の愛するジャズであり、音楽です。とかなんとかね。くさいなぁ。てへっ。とにかく「○○聴いて勉強しましたー」とか言って迎合しすぎて結局○○の二番煎じになってしまっては何にも届かない訳でして。自分はこうしたい!。って言う一本筋の通った表現を出来る音楽が残っていくのかな。今までだってそうだったし、今後もそうなのかな。ただ、ポップであったり、適切な表現ではないかもですがセル・アウト、リスナーへのサービスとでも言いましょうか、そう言ったのもとてもステキな要素です。もちろんリスペクトが超大事です。言ってる事とっ散らかってますかね。まぁ、自分の趣味です。そんな話で無くって。KARIN KROGは、ヴォーカリストでありつつもトータル・サウンド込みで、実験性と普遍性を兼ね備えたそんなアーティストであるという意味でありまして、今回のリスペクト特集を締めさせて頂きたいと思います。かしこ。



以上、お付き合いありがとうございました!。




KARIN KROG / BY MYSELF
(1964 PHILIPS - NORWAY)


ファースト・アルバム。メンバーはJON CHRISTENSEN率いるピアノ・トリオ。唯一のオリジナル曲「KARIN'S KICKS」はCOLTRANEバンドのことに触れたりしながらスキャット交えたモーダル・ナンバー。「ALL BLUES」のカヴァーもいい。サウンドはRITA REYS「JAZZ PICTURES」みたいな雰囲気。
KARIN KROG / JAZZ MOMENTS
(1966 SONET - NORWAY)


セカンド・アルバム。メンバーはKENNY DREWにPEDERSEN、CHRISTENSEN、JAN GARBAREKと言うノルウェイ・オールスターズ。彼女選曲のスタンダードを歌うのがテーマで、革新性はさておきながらも、彼女の歌声はやはりステキ。バックのプレイもかなりお洒落すぎ。
KARIN KROG & FRIENDS / JOY
(1968 SONET - NORWAY)


「MAYDEN VOYAGE」はディレイ掛けたダブ処理で飛ばしたイントロから声楽的なKARINのスキャットをフィーチャーした本編へと。A面の「MR. JOY」、「KARIN'S MODE」のモーダルな楽曲も最高。GARBAREKも最高。もう1回言わせて頂くと、マジで最高です。彼女の魅力が詰まってます。
THE DOWN BEAT POLL WINNERS IN EUROPE / OPEN SPACE
(1969 MPS - GERMANY)


欧州オールスターズ。SURMAN、MANGELSDORFF、BOLAND、PEDERSEN、HUMAIRにKARINと言うメンバー。大阪万博の際に乗ったLUFTHANSAが提供。CBBBクラシック「WINTERSONG」、KARINクラシック「MAIDEN VOYAGE」、京都に捧げた「龍安寺」等々のニュー・ジャズ・サウンドを収録。
EUROPEAN JAZZ ALL STARS / C'EST TOUT
(1970 FAR EAST - JAPAN)


更にPONTY、EDDY LOUISEを加え、大阪万博の際に来日した時のライヴを収めたのが日本盤のみの本作。KROGは「ROUND ABOUT MIDNIGHT」と「MAIDEN VOYAGE」で参加。帰国後に彼らが、前述の「龍安寺」であったり、CBBBで「OSAKA COLLING」と言う楽曲を演ってるのもなんか嬉しい。
KARIN KROG / YOU MUST BELIEVE IN SPRING
(1974 POLYDOR - NORWAY)


「MICHEL LEGRANDを歌う」と題されたアルバムです。PALLE MIKKELBORGをリーダーにPEDERSEN、ALEX RIEL、PHILIP CATHERINE等が参加。ロック的な楽曲半分、ストリングスたっぷりの甘い楽曲半分と言った感じ。「ASK YOURSELF WHY」なんかはプログレ度も高いジャズ・ロックでかっこいいです。
KARIN KROG / GERSHWIN WITH KARIN KROG
(1974 POLYDOR - NORWAY)


ピアニストEGIL KAPSTAD率いるカルテットをバックにGERSHWINナンバーを歌うアルバムです。でもやっぱりKARINさんらしさは抜群で、「WHO CARES?」でイントロから続くブラシの上でソロを執るKARINさんを聴くと「おっ」と思う訳です。スタンダードながら全編軽やかにスウィングする好アルバム。
KARIN KROG / WE COULD BE FLYING
(1975 POLYDOR - NORWAY)


STEVE KUHN、STEVE SWALLOWと言う60年代から続くコンビにドラマーJON CHRSTENSENと言うECM系のバックを従えジャズ・ロック的なアプローチ。JONI MITCHELLやBLEYのカヴァーも取り上げつつ、KHUN作のクラシック「MEANING OF LOVE」、「RAINDROPS, RAINDROPS」を収録です。
KARIN KROG - ARCHIE SHEPP / HI - FLY
(1976 COMPENDIUM - NORWAY)


アメリカの大物とのコラボとしてはDEXTER GORDONに続く作品。タイトルはRANDY WESTONのカヴァー。WALDRONの「SOUL EYES」のカヴァーも演ってるんですが、そちらがかなりいい。で、SHEPPの「STEAM」も取り上げててそちらもかなりいい。BLEYもナイス。KARINの中でもかなり好きな1枚。
KARIN KROG / DIFFERENT DAYS DIFFERENT WAYS
(1976 PHILIPS - JAPAN)


本作は日本盤がオリジナル。幾つかの私家的テープを纏めた物で、かなり前衛的な現代音楽集です。JOACHIM KUHNやEJE THELIN、ALDO ROMANO等の前衛派と組んだ楽曲、モントリューでのベースとのデュオ・ライヴ音源、KARINさん自身による打ち込み音響音楽等を収録です。
KARIN KROG AND NILS LINDBERG / AS YOU ARE
(1978 RCA - SWEDEN)


副題に「マルモ・セッション」とあるようにスウェーデンでの吹き込み。BOTSCHINSKY、PEDERSEN、BERNT ROSENGREN、OLE MOLIN、OLE STREENBERGにリーダーのお2人と言う豪華なメンバー。BLOSSOM DEARIEやJOBINの曲も取り上げどことなくキュートな雰囲気のKARINさんです。
KARIN KROG - JOHN SURMAN
(1979 POLYDOR - NORWAY)


UKのJOHN SURMAN全面サポートによる作品。SURMANがバリトン、ソプラノ、ギター、シンセにムーグを担当し、かなりプログレッシヴで幻想的。ダビーな「NEW SPRING」等、アブストラクトなジャズを展開。SURMANのソプラノ・ソロは流石。MIKE WESTBROOK BANDでのプレイを思い出しました。
V.A. / NRK SESSIONS
(2008 PLASTIC STRIP - NORWAY)


ノルウェーの国営放送NRKが持っていた未発表音源集が出たのですが、ファンクに混じってKARINさんの曲が1曲入っておりました。RASCALSの「GROOVIN」をギターとストリングスたっぷりのワルツ・タイムで甘い感じでカヴァーしております。いいなぁ。1969年にラジオ放送されたもののよう。



←第12回に戻る 第14回に続く・・・
▼編集後記

オルガンバー所属。常連。ヒロセダイスケ。


最近は忙しいです。オルガンにも全然寄れておりません。やばいです。アイデンティテイー崩壊の危機です。自慢のモミアゲに白髪を発見しました。そんな中で、この場をお借りし大変恐縮なのですが、わたくしが日夜勤務しておりますダンスミュージックレコードのホームページがリニューアルしましたので是非ご覧頂ければと存じます。日々精進してより内容の濃いものにしてまいりますので何卒宜しくお願い致します。わたくしが出来ることなら何でもします!NO MUSIC, NO LIFE!(よそさま)。SAVE THE DJ MUSIC!。
 line