今月のオススメ映像は、日本の時代劇テレビドラマ『ふりむくな鶴吉』のテーマ曲。何でしょう、このメロウで込み上げる感じは。音楽:樋口康雄ですか、そうですか。

ふりむくな鶴吉(1974年 音楽:樋口康雄)

今月のテーマは「メロウ」。実は2002年9月も同じテーマでやっているのですが、やはりメロウでスウィートな音楽は秋にピッタリですね。

Toru WATANABE (pee-wee marquette)

02,04,06,08,10:
Toru WATANABE (pee-wee marquette)
01,03,05,07,09:
Masao MARUYAMA (musique dessinee)



TARA PRIYA / TARA PRIYA
(TARA PRIYA MUSIC)


ロサンゼルスをベースに活動中の女性アーティスト、TARA PRIYA。エキゾチックな顔立ちも印象的な彼女はペルシャ人とインド人のハーフだそうです。中々に興味深いフレッシュな彼女ですが、奏でるそのサウンドは、ハスキーな歌声を良く活かした60'S趣味全開のレトロなソウル〜ポップで痛快です。跳ねる曲調が秀逸な冒頭の「ROLLIN'」から楽しめますが、注目は、今にもザ・スピナーズの名演で知られる「IT'S A SHAME」を思わせるイントロから極上にメロウなミディアムのソウル「WOUNDED」。イイ曲です。しかしこの子は、カタカナにすると“タラちゃん”ですね。覚え易いですネ。


BIRGITTA GOTESTAM & STEN NILSSON / SOLEN HAR TVA TANDER
(SCRANTA GRAMMONFON)


北欧スウェーデンの音楽の感性は日本人のそれと似ている気がする。その傾向は子供向けの音楽には特に顕著で、本作でも美しいメロディが満載の名盤です。1979年リリース、アーティストの情報は全く無いですが、どの曲もメロディアスで日本人好みのメロディメイカーと言えるでしょう。基本的に男女デュエットで歌われていて、マイナー調のメロウボッサ「TILL ANFALL」、多幸感溢れる「KOJAN I TRADET」、アップテンポのボサノヴァ「SOLEN HAR TVA TANDER」など、名曲ズラリ、でございます。


NINA BECKER / VERMELHO
(YB MUSIC)


ブラジルの女性シンガー、 ニーナ・ベッケルのソロデビュー作。その雰囲気抜群の歌声がとにかく印象的なのですが、楽曲がブラジル音楽的なアプローチと言うよりも、どこかネオアコ〜ポストロック的なシンプルなサウンドな点も、彼女の透明感を感じさせる歌声を際立たせています。アルバムの中でも最もポップな「TOC TOC」なんて、中々ありそうで無い感じがクセになります。ちなみに彼女のデビュー作は2枚同時でリリースされていて、もう一方の『AZUL』と言う作品は、より穏やかな雰囲気全開の逸品で、いずれも甲乙付け難いです。


MARLENA SHAW / LAST TANGO IN PARIS
(BLUE NOTE)


マリーナ・ショウのシングル盤。1973年リリースなので、あの名盤『WHO IS THIS BITCH,ANYWAY?』の直前の制作になる。シングル表面は映画『LAST TANGO IN PARIS』主題歌のカヴァー。リッチなオーケストレーションをフィーチャーして、世紀末の感じというか、メロウで切なくて美しい名ヴァージョンに仕上がっている。さらに裏面はマーヴィン・ゲイ「SAVE THE CHILDREN」のカヴァーで、こちらも表面と共通した世界観を持っている。


RONI MARTIN / RONI MARTIN
(TIMMION)


北欧はフィンランドのから登場した分類不能の新たな才能、RONI MARTINのデビュー作。アルバム自体は、フォークからジャズ、ブラジリアンに実験的な要素まで、幅広いエッセンスを取り入れたごった煮状態のスゴい作品なのですが、何と言っても唸らされるのはオープニングを飾る極上にメロウなスウィートソウルの「RUNOILIJA」。緩やかなヴァイブが伝わるイントロのハーモニーを聴いただけでも、この曲がスゴいナンバーだと分ってしまいます。


THE FENCEMEN / BACH N'ROLL (LIBERTY)

幻想的なジャケット。バロック音楽と他ジャンル音楽との親和性は、スウィングル・シンガーズやバロック・ジャズ・トリオの音楽を聴いてもらえれば分かると思いますが、このフェンスメンの「バッハンロール」は、バッハとロックの混血音楽です。バロック風のメロディにロックンロールのリズムというのいつの時代も何処と無く新しさを感じる。他もクラシックの曲をモチーフとしてロックやツイストでグルーヴ感たっぷりに聴かせてくれます。


NEL OLIVIER / NEL OLIVER (ELVER)

あまり身近な国では無いのですが、西アフリカのベナン出身で1980年代にはパリで活動していたと言う黒人SSW、NEL OLIVERが恐らくは自主制作でリリースした作品。癖の無いソウルフルな歌声が魅力で、そのサウンドも当時の欧米のソウル〜ファンクや、ディスコに影響を受けた格好良いものです。もちろんアフリカ的なエッセンスもあるのですが、注目は程よく取り入れたボサのリズムとエレピの鳴りが気持ち良いマリンフレイヴァー香るAOR〜フリーソウル「SHE'S STILL THE ONLY ONE」。メロウです。


FRED BONGUSTO / IO NON CI PROVO GUSTO (RIFI)

イタリアの男性歌手フレッド・ボングスト。『ああ結婚』『青い体験』など多くの映画音楽も手掛けていますが、本作は1974年の映画『IO NON CI PROVO GUSTO』のサントラシングルと思われます。裏面「ROSA」が面白い。女性スキャットコーラスも交えた爽やかでメロウなボサノヴァ風のナンバーでイタリア語で歌われますが、途中から突然「♪ローザ。迷いを捨てて、この胸の中もう一度お帰り…」という日本語の歌詞で歌われます。


FRANKIE ZHIVAGO YOUNG / THE AGE OF FLYING HIGH (production dessinee)

バハマの首都ナッソーで活動を続ける黒人ソウルシンガー/SSW、フランキー・ジバゴが、フランキー・ジバゴ・ヤング名義で残した作品。そのサウンドは、ジャケットにもある通り、雑多な物で、レゲエからロック、ファンクからソウルまでかなり幅広いモノ。録音自体も時代性と地域性もあってか、かなりラフな感じですが、一曲、タイトなドラムブレイクに導かれ、激メロウに転がるエレピが最高に気持ち良い極上のメロウソウル「SOMEONE STOLE YOUR LOVE」が最高の“アイランドソウル”です。程よい浮遊感に彩られ小気味良く鳴らされるホーンと込み上がるメロディが抜群です。


ALAN HAVEN / HAVEN FOR SALE
(CBS)


英国のジャズ鍵盤奏者、アラン・ハヴェン。映画『ナック』のサントラへの参加などで知られていますが、本作は1969年リリースの彼のソロアルバム。プロデュース&アレンジはキース・マンスフィールド、さらにトランペット奏者メイナード・ファーガソンがゲスト参加している。アラン・ハヴェンはローリーオルガンを操り、モッドジャズとラウンジの中間を行くような音楽を奏でている。「1-2-3」「LOVE FOR SALE」の名カヴァーが多い。