今月の10曲
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第159回国会に提出され衆院を通過した<著作権法の一部を改正する法立案>。文化 庁によるいわゆる輸入音楽CD規制法案。当初はアジア盤CDの安価な逆輸入を防ぐ目的(表向きは)で発案された規制のようですが、全米レコード協会は「楽曲の種別を問わず輸入を制限すること」を強く要求しているらしく。結果、音楽の輸入が出来るのは日本のレコード会社のみ、レコードSHOP単位で洋楽を輸入することも個人が通販などで海外から買うこともNG、洋楽はレコード会社による国内盤を買うこと、国内発売の予定のない洋楽はあきらめること、ってそういうところにまでなし崩しで行きつきかねないっていう杞憂が杞憂のままで終わればいいんですが。お仕着せの、売れ筋の、限られた洋楽しか聴けなくなるなんていう事態は、これから徐々にダウンロードの割合が増えていくのだとしても、やっぱり明らかに不幸ですよね。ダウンロード出来ないと音楽が聴けないっていうのもそれはそれで乱暴な話だと思うし。ちなみに、さまざまなリリースはこのニュースに関しての音楽メディアを“CD”と呼称していますがもちろんアナログ盤も例外視はされていません。そもそも実際の法案文には一律“レコード”と明記されているくらいですから。
PREMIUM CUTS PROGRAM 2004
JUNE〜JULY LINE UP 21:00 OPEN (\2,000/1D)

※誕生月に入場の方、入場料無料(要ID提示)

5月12日(水)『Premium Cuts 2004』
DJ:鈴木雅尭(APRIL SET/BLUE CAFE), 佐野真久, 橋本好真, トーマス平井, 関口紘嗣, 植原良太

6月09日(水)『Premium Cuts 2004』
DJ:鈴木雅尭(APRIL SET/BLUE CAFE), 佐野真久, 橋本好真, トーマス平井, 関口紘嗣, 植原良太

TWISTE ET CHANTE
WESSEL ILCKEN / His Voice, His Drums, and His Combo WESSEL ILCKEN / His Voice, His Drums, and His Combo
(PHILIPS) 7"

オランダのジャズドラマーW. ILCKENの、これはまさにタイトル通りの多彩な魅力を凝縮した4曲入りマキシ7インチシングル。リリース年は記されていないけど、おそらく50年代の終わりくらいかな。とにかくまず唄がうまい。甘さ控えめの太くよく通る声は男前で存在感たっぷり。特にいいのは「SCOOLDAYS」「SATURDAY NIGHT FISH FRY」の2曲の軽快なスウィング・ナンバー。バンドのコンビネーションも絶妙で、イキのいいラッパと的確なWESSELのドラムがいい勢いづけになってます。かっこいい。
SYLVAIN / Manana Pasado Manana SYLVAIN / Manana Pasado Manana
(CBS) 7"

小西さんが「ダブル・スタンダード」で紹介していたフレンチ・シンガーのこれは別の7インチ。こちらのアレンジはM. LEGRANDではなくFRANCOIS GUIN。あの盤のハイライトは女性コーラス隊が加わった華やかなハイスピード・ナンバーなどでしたが、こちらの目玉は表題のノリのいいスウィング・ナンバー。厚手のホーンとのコール&レスポンスが楽しい。「LE FAUCHE」はCHACHACHAのリズムがサビメロで4ビートにスウィッチする、フレンチ・スタンダード「ろくでなし」によく似たメロを持ったHAPPY TUNE。
CHARLES AZNAVOUR / Idiote Je T'aime... CHARLES AZNAVOUR / Idiote Je T'aime...
(BARCLAY) LP

長い芸歴を通して相当な数の作品を残しているシャンソン・ポップスの第一人者C. AZNAVOUR。「ダブル・スタンダード」で自分が紹介したアルバム『CHARLES AZNAVOUR』にはスリリングな傑作ジャズ・ナンバー「JE T'AIMAIS TANT」が収録されていましたが、このアルバムには「JE T'AIME」というナンバーがあって、これが「LA FETE」なんかに遜色なく繋いでいけるような感じの相当なGROOVY TUNE。AZNAVOURの手によるこみあげ系の秀逸のメロディに、ホーン、ストリングス、コーラス隊などバックも万全。
FILIPPO TRECCA / Un Uomo, una Musica, un' Immagine FILIPPO TRECCA / Un Uomo, una Musica, un' Immagine
(PHILIPS) LP

このF. TRECCAという人は、A.TOROVAIOLIやP.UMILIANI、P.PICCIONIなんかと同様、60〜80年代のイタリアで多くのTV・映画のサウンドトラックを手がけていた人のようで、これはそのTVドラマ・サントラ曲を集めたベスト・アルバム。彼らがアプローチとして多用するようなブラジリアン・テイストの曲、いわゆる“イタリアン・ボッサ”的(勝手な括り方だけど)なナンバーがここにも3曲ほど収められていて、どれもクオリティの高い出来。「ACAPULCO」にはあのEDDAもスキャットで参加しています。
CHARLES STEINMANN CHOR UND ORCH / Stereo Party CHARLES STEINMANN CHOR UND ORCH / Stereo Party
(CORNET SPECIAL) LP

例えて言えばSTAN REYNOLDの『DANCE PARTY』なんかに雰囲気がとてもよく似たアルバム。リズムもはっきり立ったレベルの高い楽団系イージー・サウンドに、混声ヴォーカル隊をフィーチャー。ただしヴォーカルの気持ちよさ、カラフルさではこちらがさらに一歩上を行っています。深いリヴァーヴで聴かせるコーラスワークの良さが特に際立っているのは、ボッサ・ビートの「HAPPY TO BE」、ソフトロック・テイストの「BORN IN SPRING」、ゴーゴー「LOVE IS A GAME」などのUPなナンバー。
MAESTRO CARIOCA / A Musica dos 4 Grandes e Maestoro Carioca MAESTRO CARIOCA / A Musica dos 4 Grandes e Maestoro Carioca
(EQUIPE) LP

これは辰緒さんに教えていただいた傑作ブラジル盤。自身のコンボを従え、曲によって女性ヴォーカルや男性コーラス隊を起用し、かなり密度の濃いバランソ・ジャズを展開しています。というか、ホーン隊が見事なアンサンブルでリードする「NA CADENCIA DO SAMBA」なんてもうほとんどヨーロッパの粋な60sジャズにしか聴こえない。フルートやギターが良く歌う「MUNDO DE ZINCO」「FEITICO DA VILA」なんかもかなり快調。そしてこのレーベルって音が良いですね。音ヌケ具合もブラジルっぽくない。
THELMA / Same THELMA / Same
(CBS) LP

ブラジル人女性シンガーTHELMAがMARCOS VALLEやBADEN POWELLなんかの代表曲を歌った65年のアルバム。アレンジや指揮などのクレジットは見当たらないけど、結構全体にジャズっぽさが前面に出た演奏。ちなみに推奨文はVINICIUS DE MORAES。 ボッサ・ジャズな「DEIXA」や「DEUS BRASILEIRO」、サンバ・ジャズな「BATUCADA SURGIU」や「LABAREDA」などなど。THELMAのヴォーカルはちょっと土臭い声質だけど、力まず儚な気な歌い方がいい。SAUDADE感っていうやつでしょうか。
ELENA / Same ELENA / Same
(AREITO) LP

キューバ人女性シンガーの貫禄満点、肝っ玉母さん(古)なアルバム。CUBA産ということでSALSAカラー一色かはたまたラテンクラシカルな民謡系かと勝手に想像したのがまったくの早計で、パワフルなオーケストレーションをバックにさまざまなスタイルの曲を気持ち良さそうに歌っております。ラテン色は思いのほか控えめ。ゴーゴー・チャチャな「Y YA LO SE」、イエイエ・ポップな「ME VOY A DESQUITAR」、SHIRLEY BASSEYの「ダイアモンドは永遠に」みたいな雄大な「YO SOY TU LUZ」などなど。
HENRY RUBIO / Lo Mejor de Aldemaro Romero HENRY RUBIO / Lo Mejor de Aldemaro Romero
(LEON) LP

ヴェネズエラ発。A. ROMEROの楽団でハーピスト、ギタリストをつとめたH. RUBIOのソロ・アルバム。MIX TAPE『PREMIUM CUTS 007』で、N. M. FRISK & A. PISAの子供声版とどちらを収録しようかさんざん迷って選んだこちらのインスト版「EL MUSIQUITO」(ALDEMARO ROMERO)のカヴァーが、やっぱりアルバムを通して一番の聴きどころ。決め手はやはり相当にタイトかつ強力なそのGROOVE。ハープという上品でクラシカルな楽器を用いてレア・グルーヴ的なバンド・サウンドを作っているのが新鮮。
DE GIGANTJES / Little Giants DE GIGANTJES / Little Giants
(IDIOT) 10"

オランダのネオロカ、スウィングバンドの85年の10インチミニアルバム。昔のジャズ、ドゥーワップなどを愛情込めてカヴァー。中でも一番の聴き物はLOUIS JORDANの「BARNYARD BOOGIE」。アニマル声SEまで飛び出す茶目っ気たっぷりジャイブ・ナンバーでMIKKI嬢のリードヴォーカルも迫力満点。よく似た「YAKI TAKI OOWAH!」はFIVE ROYALSのヒット曲。TINY BRADSHOW「TWO DRY BONES」のカヴァーもごきげん。ちなみにアルバム未収の7インチ「I WANT YOU TO BE MY BABY」もパンチ大でお勧めです。
DE GIGANTJES / Little Giants
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