今月の10曲
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公開直後に観た『KILL BILL 2』。まわりの人たちの反応が本当に色々で興味深かった。『1』のハイ・テンションぶりが影をひそめて期待外れだったとか、逆に動と静とコントラストがすごいとか。実は『3』も用意されてるらしい(?)、なんていう事情通っぽい人もいたり。確かに今回は、彼の脳内おもちゃ箱的世界だった前作のイケイケ・ムードから一転、こんなにもタッチの違う『1』『2』が本当に最初は1本の映画として撮られてたんだろうかという素朴な疑問ももたげるほど、静かな緊張感が漂うマカロニ・ウェスタン(&カンフー)・ワールド。しかしもちろんけれん味たっぷりのアクション、時間軸の組み換え、長いダイアローグといった特徴は健在で、抽象的な言い方だけどタランティーノ以上でもタランティーノ以下でもなかったっていう感じでしょうか、自分はまぁあまり過剰に期待もしていなかったんでそれなりに面白く観れました。年内に出るというDVDコンプリート・バージョンも気になりますが、それよりクリント・イーストウッドとかジュリアーノ・ジェンマが主演した一連のイタリア製西部劇が観たくなりました。
やっぱり彼のデビュー作『レザボア・ドッグス』を初めて観た時の衝撃は別格だった。
そしてクールな選曲。「LITTLE GREEN BAG」を速攻で探しました。
PREMIUM CUTS PROGRAM 2004
MAY〜JUNE LINE UP 21:00 OPEN (\2,000/1D)

※誕生月に入場の方、入場料無料(要ID提示)

5月12日(水)『Premium Cuts 2004』
DJ:鈴木雅尭(APRIL SET/BLUE CAFE), 佐野真久, 橋本好真, トーマス平井, 関口紘嗣, 植原良太 and Guest!

6月09日(水)『Premium Cuts 2004』
DJ:鈴木雅尭(APRIL SET/BLUE CAFE), 佐野真久, 橋本好真, トーマス平井, 関口紘嗣, 植原良太 and Guest!

TWISTE ET CHANTE
KIRSTY MACCOLL / Electric Landlady KIRSTY MACCOLL / Electric Landlady
(VIRGIN) LP

リーズナブルで、いい曲で、ユースフルっていう申し分のないレコード。この人はネオアコ界隈では相当名の通った女性シンガーソングライターらしく作品も多数リリースされていますが、アナログ盤にこだわってるVIRGINレーベルゆえか、この91年作品も然り、CD全盛の時期にしてはアナログ盤も割とポピュラーに流通しているみたいです(偶然簡単に見つかっただけかも知れませんが)。で、本作のイチオシナンバーはラテン・ジャズ・マナーで軽快に飛ばす「MY AFFAIR」。ホーン&ストリングスも、男性コーラス隊も爽やかな曲調に彩りを添えて申し分ナシ。
UNDERCOVER / Check out the Groove UNDERCOVER / Check out the Groove
(PWL) LP

この92年盤も手に入れた時は苦もなく安くっていう廉価盤で、逆にいうとそんなにレコ代を奮発するようなレコードじゃないかな。いわゆるポップ・ハウスなアレンジによるカヴァー・ソング集ですね。G. RAFFERTYの「BAKER STREET」とかFOREIGNERの「WAITING FOR A GIRL LIKE YOU」とかGALLAGHER & LYLEの「I WANNA STAY WITH YOU」とか、聴けば「あ〜これね」って思い出す馴染みのHITナンバー中心。とどめはEW&Fの「SEPTEMBER」。おニューのハウス・ナンバーをMIXする合間に織り交ぜたりしたら面白いかなと。そんな感じです。
CALIFORNIA SMOKER / Same CALIFORNIA SMOKER / Same
(2000 B.C.) LP

これもカヴァー集。全然知らないカリフォルニアのローカル・レーベル発の、おそらくデジタル・レコーディングのデモンストレーション的な意味合いを持ったポップ・オーケストラ作品。「COPACABANA」「ANOTHER STAR」「宇宙のファンタジー」「I WISH」といった当時のヒット・ナンバーをダイナミックなアレンジで演ってます。SHIRLEY BASSEYを若くフレッシュにしたような女性ヴォーカルをフィーチャーしたラテン・ディスコ・タッチの「COPACABANA」、混声ヴォーカルによる粘り気たっぷりな「宇宙のファンタジー」が特に秀でております。
LAURIE JOHNSON ORCHESTRA / Two Cities Suiet LAURIE JOHNSON ORCHESTRA / Two Cities Suiet
(PYE) LP

「AVENGERS」に代表される映画・テレビのサウンドトラックやショウビズ・ワークなどを中心に60〜80年代に活躍していた英国のコンポーザーL. JOHNSONの66年アルバム。タイトルとジャケ写からも想像がつくようにロンドン・サイドとニューヨーク・サイドに分けてイメージされたコンセプト・アルバムになっています。ロンドン・サイドの聴きものはクールな「M.1.」と「WEST END」の2曲のスウィング・ナンバー。そしてニューヨーク・サイドの目玉はコンピにも収録されたサスペンスフルな快速ラテン・ジャズ「LATIN QUARTER」。血が騒ぎます。
SANTI LATORA / Musica Dallo Schermo SANTI LATORA / Musica Dallo Schermo
(DURIUM) LP

こちらはイタリア生まれのキーボーディストS. LATORAによる、イタリア生まれのFARFISAのオルガンを駆使した映画音楽集。FARFISAの音色って、適度にチープで親しみがあってなんかいいですね。バロック・ボッサにアレンジされた『SISSIGNORE』のBERTO PISANOによるテーマ「TEMA DI OSCAR」。『IL MEDICO DELLA MUTUA』のPIERO PICCIONIによるテーマ「SAMBA FORTUNA」や、『RIUSCIRANNO I NOSTRI EROI 〜』のARMANDO TROVAIOLIによるテーマ「CANTO DE ANGOLA」はハッピーなユーロ・サンバに。後者で聴けるピアノも絶品。
PETER THOMAS / Jerry Cotton PETER THOMAS / Jerry Cotton
(POLYDOR) LP

変わっては大御所ドイツ人コンポーザーによる同名連続探偵活劇のための濃厚なジャズの匂いに満ちた傑作サウンドトラック。スケールの大きなビッグバンド・スタイルからカクテル・ジャズまでさまざまなタイプの曲が並ぶなか、さまざまなアレンジで幾度も登場する「JERRY COTTONのテーマ」がやっぱり秀逸。スキャットも満載。そして行間にちりばめられたダイアローグ。タランティーノも影響受けたのかな。そういえばかつてロバート・アルトマン監督作の探偵映画『LONG GOODBYE』でも、同じ手法でクールなテーマ曲が何度も繰り返されてました。サントラ盤化熱望。
LES CARLTON / Shall We Dance LES CARLTON / Shall We Dance
(FOUR LEAF) LP

ほどよく熱気押さえめのスマートな歌いっぷりのシンガーL. CARLTONの73年スウェーデン盤。おなじくスウェーデンのDORIS SVENSSONSも歌っていた「WOULDN'T THAT BE GROOVY」がずばりグルーヴィーでいい。「QUANDO, QUANDO, QUANDO」は元々がバージョンによっては糖分過剰摂取でお腹いっぱいになりがちな甘々なナンバーだけど、ビッグコンボによるレアグルーヴィーなアレンジで、胃もたれしない程よくダイナミックな仕上がりに。LEE DORSEYもレパートリーにしてる「PEOPLE SURE ACT FUNNY」はさらに甘味を抑えたビターな味わいです。
VANS BRO'S / Bjorbobandet VANS BRO'S / Bjorbobandet
(IJUDSPAR) LP

上記盤と同じく73年作。上記盤と同じくスウェーデン盤。流麗なファルセットまで織り交ぜた兄弟コーラス・ユニットのアルバム。スウィング・ジャズ・スタイルだったり、8ビートだったり、バロック・コーラス風だったり、アカペラ教会風だったりと多彩なアレンジ。スタンダード・ナンバー「FOUR BROTHERS」は、まさに俺らのテーマ曲だぜと言わんばかりにノリノリで息の合ったスキャットワークを披露。ソフトロックなバッキングに乗せてコーラスが踊る「LOVE IS A HAPPY THING」もごきげんです。裏面解説はすべてスウェーデン語につき例によって解読不能。
入道 / Profet, Down Homers Special 入道 / Profet, Down Homers Special
(TRIO) LP

ギタリスト山岸潤史などと共演していたブルース・シンガー、入道。これはお気に入りのふたつのバンド<プロフェット>と<ダウンホーマーズ・スペシャル>を率いておこなった1978年の京都ライブの記録。特にスタジオテイクの「おいしい水」がすごい。男気に満ちた、これはまさにロッキン・ブルース・ボッサ。ちなみに渋谷FMの辰緒さんのプログラム<DOUBLE STANDARD>収録時にこのレコードを辰緒さんに紹介したら、ジャケ裏のメンバー全員集合写真を見て「入道ってこの人でしょ」ってものの2秒でずばり当ててました。なんつっても“入道”だもんなぁ。
アンリ菅野 / Shining Wave アンリ菅野 / Shining Wave
(FAR EAST) LP

2000年に惜しくも亡くなったジャズ・シンガー、アンリ菅野女史の、これはクロスオーバー色の強い79年作のセカンド・アルバム。あまたのカヴァーにお腹いっぱい気味のJOBIMクラシックス「WAVE」もフュージョナイズされたスマートな高速サンバとなって新鮮に響きます。「CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU 君の瞳に恋してる」やERIC CARMENの「CHANGE OF HEART」はメロウなフリーソウル・ダンサーに。やはりシティ・ポップ(死語!)なアレンジの「イパネマの娘」では、先月紹介したジャズ・シンガー木津ジョージ氏との息の合ったハモリが聴けます。
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