ROK-SEY
 line
第11回「BLUE NOTE LTシリーズでも聴いてみよう」
誰もが認めるジャズの総本山BLUE NOTE。年代と共に幾つかのシリーズからなっています。7000番台、5000番台、1200番台、1500番台、4000番台、新4000番台、6500番台、9000番台、9900番台、そして、BN-LAシリーズ、BN-LTシリーズ、そしてマンハッタン・シリーズ・・・と。今回はこの中からBN-LTシリーズを上げさせて頂きたいと思います。

「LTシリーズ」と言えば、最近ではなかなかの値段がついていたりしていることもちらほら、CDはモチロン、アナログ・リイシューも出たりしていますが、昔はエサ箱の隅にどっさり転がっていたなんて話を聞きますし、一連のBLUE NOTE「らしからぬ」ジャケットから、CDリイシューの場合はジャケットも差し替えられ、出来ればKING盤で手に入れたいと言われ、そもそも蔵の中で眠り続けていた音源たち・・・とかなり不遇なシリーズです。でもそんな事はないぞー。と力強く言いたいのが今回のお題。

さて、LTシリーズと言うのはざっくり言うと、UNITED ARTISTS傘下でリリースされたBLUE NOTEの未発表音源シリーズの事です。これを手掛けたのはCHARLIE LOURIEとMICHEAL CASCUNAの2人。75年からのお仕事です。

さて、この当事のBNの状況をざっくり振り返って見ますと、65年にBNはLIBERTY傘下へ買収され、67年には創業者の1人ALFRED LIONが引退します。その後プロデューサーはこちらも創業者の1人であるFRANCIS WOLFFとDUKE PEARSONが担当しますが、LIBERTYをUAが買収、そしてUAをTRANSAMERICAが買収、更には71年にWOLFFが死去し、PEARSONも出番が無くなってきます。このような期を経て70年代のBNは大手傘下主導でなかなかに暗黒期だったと振り返られます。70年代のLAシリーズにもクラブ・ジャズ・サイドからの視点をメインにしつつも傑作が多数ありますが、やはりリリース数は大物を中心としたものが多く、相対的に少なくなってきます。

そのような期を経てLAシリーズの一部再発掘の後にLTシリーズへ突入します。ここでのヒーローはMICHEAL CASCUNAです。元々ライナーを書いたりとジャズを生業にしていた人。出会ったミュージシャンからロスト・テープの話を聞き「あの頃誰々とあんな曲を録音したけどリリースされなかったなぁ。」なんて話をノートにぎっしりまとめ、75年にNYで行われたDONALD BYRD「STEPPIN' INTO TOMMOROW」のリリース・パーティーに単身乗り込んだのです。そこでBN担当で当時リイシューも手掛けていたCHARLIE LOURIEに「ボクにBNリイシューを任せてください!。」と直談判します。新譜のリリースに手が一杯だったCHARLIEは渡りに船とMICHEALを迎え入れます。そこからMICHEALの「発掘」をメインとした偉業が始まります。禁制のBN倉庫に足を踏み入れたMICHEALですが、そこにあるテープには何のラベルも貼られておらず、貼られてたとしても「JOHN COLTRANE」と書かれたテープのみ。と言った状況で、記憶と資料と知識とブラインド・フォールド、更にはアーティストたちに聴き込みを行い、録音日、参加ミュージシャン、曲名等をセッション毎にまとめ体系化し、宝の山を目前にし、もうリイシューどころではなく次々にロスト・テープをリリースに漕ぎ着けていきました。

この様に日の目を見た作品の中には、内容的にお蔵入りとなった物やアウトテイク的セッションも多数あったでしょう。但し、商業的にリリースに至らなかったもの、契約の関係だったり、財政的なものであったりと、内容の如何に関わらずお蔵入りとなってしまっていた素晴らしいものも多数ありました。残された膨大な資料の中から、過去の栄光にすがるだけのBNに新風を巻き起こすべくMICHEALは奮闘します。良かれ悪しかれ、あまりフュージョンを良しとしなかった日本のマーケットからはMICHEALの尽力もあり、KING未発表シリーズとして多く発表されています。

LTシリーズが実際には売り上げ的に貢献度の低かった事はカット盤が非常に多い事からも伺えますが、内容的にはそんな事は絶対にないです。KING盤は音質的にも日本盤のみと言う希少性からも世界的マーケットでかなり人気の存在となっています。ちなみに彼ら2人は後年MOSAIC RECORDS(COLLIERのとは別で)と言うレーベルを立ち上げサルベージを続けています。

以下は幾つかLTの1LPモノで、KING盤で所有のものは除いて、あの「らしからぬ」ジャケット・シリーズのモノから幾つかを上げさせて頂きます。こう並ぶと不評のジャケットも何だか愛らしくありませんか?。他にも第2回で上げさせて頂いたボビハチの「PATTERNS」や「SPIRAL」を始め、個人的にはHILLの中で一番好きな「DANCE WITH DEATH」等の必聴盤もあります。自分も全部聴けたわけではありませんのでまだまだ掘ります!。全カタログはこちらで是非。

以上、お付き合いありがとうございました!。




JACKIE MCLEAN / VERTIGO
(1959 BLUENOTE LT-1085 - USA)


MCLEAN。第6回の新主流派のトコでも挙げさせて頂きましたが、60年代中頃には前衛的新主流派のプレイヤーとなる彼。当事出始めたモードをHANCOCK等の若いプレイヤーと共に解釈した1枚。ブルースやバップに混じっての「VERTIGO」の革新性が嬉しいです。なんとTONY WILLIAMSのBN初録音。
JIMMY SMITH / COOL BLUES
(1958 BLUENOTE LT-1054 - USA)


LOU DONALDSONにTINA BROOKSをフロントに迎え、ドラムはBLAKEY。当時のレギュラーセットで録音されたライヴ盤。B面の長尺2曲のハードバップがいい。「COOL BLUES」に「NIGHT IN TUNISIA」を演っており、例えばSAHIBの「JAZZ PARTY」もこう言う雰囲気だったんだろうなと思わせる好内容。
HAROLD LAND / TAKE AIM
(1960 - BLUENOTE LT-1057 - USA)


後年のBOBBY HUTCHERSON作品ではサイドメンとして参加してますが、LAND唯一のBNでのリーダー作。それがお蔵入りとは無念です。クインテット編成での全編痛快なハードバップと言ったスタイル。メンバーと言い、ロスでの録音、そしてプロデュースがLEONARD FEATHERと言うBNとしては異色作。
DONALD BYRD / CHANT
(1961 - BLUENOTE LT-991 - USA)


この音源がMICHEALに発掘されたことによりHERBIE HANCOCKが初めてBNに録音した作品である事が判明しました。メンバーはPEPPER ADAMS、DOUG WATKINS等のクインテット編成。後の「NEW PERSECTIVE」に収められている「CHANT」他、オリジナル曲3曲に、ROLLINSのカヴァー等をプレイ。
IKE QUEBECK / CONGO LAMENT
(1962 - BLUENOTE LT-1089 - USA)


4103と言う番号が割り当てられていたが結局お蔵入りとなってしまったアルバム。メンバーは、TURRENTINE、BLAKEY、SONNY CLARKE等による三管セクステット。アフロ・キューバン色濃い目のBEENIE GREEN作の「B.G. GROOVE TWO」、ブルージーな「SEE SEE RIDER」等を収録。
BLUE MITCHELL / STEP LIGHTLY
(1963 BLUENOTE LT-1082 - USA)


JOE HENDERSONにLEO WRIGHT、HANCOCK等によるセクステット。4142でリリース間近まで行ったが、結局はお蔵入りとなってしまったアルバム。KENNY DORHAMが「TROMPETTA TOCCATA」を正規盤で取り上げてます。「LITLLE STUPID」aka 「ANDREA」は、ステキなワルツ・ナンバー。
GRANT GREEN / SOLID
(1964 BLUENOTE LT-990 - USA)


当事の人気を反映するように多数録音を残したが故GREENは未発表音源が多く残されたアーティストです。彼の未発表音源にはコルトレーンイズムを継承するような作品が多く見逃せません。COLTRANE一派を従えたセクステットでの「MINOR LEAGUE」「EZZ-THETIC」が人気。LTの中でも重要作の1つ。
STANLEY TURRENTINE / IN MEMORY OF
(1964 BLUENOTE LT-997 - USA)


BLUE MITCHEL、CURTIS FULLER、HERBIE HANCOCK等のセクステット編による軽やかなバップ・サウンドを披露するリラックスした好演。その中で異彩を放つのが、RANDY WESTONのレパートリーとして知られるアフロ・キューバン「NIGER MAMBO」もカヴァー。ちょっと短めなのが残念。けどいいよ。
WAYNE SHORTER / THE SHOOTSAYER
(1965 BLUENOTE LT-988 - USA)


SHORTERの正規リリース作となんら遜色の無い出来。と言うよりSHORTERの最高傑作の部類に入る内容だと思います。TONY WILLIAMSとの唯一の共演作、McCOYとの初競演、少ない3管ものと言ったクレジット面での話題も事欠きませんが、「LOST」を筆頭に良い曲目白押しです。ほんといい。
STANLEY TURRENTINE / NEW TIME SHUFFLE
(1967 BLUENOTE LT-993 - USA)


DUKE PEARSONプロデュースで、当時の彼らしい10〜11人のビッグ・バンド的サウンドです。やっぱり注目はHUBBARDの「RETURN OF THE PRODIGAL SON」をカヴァーしてること。なかなかポップなアレンジで「AIN'T NO MOUNTINE HIGH ENOUGH」や「MANHA DE CARNAVAL」も演ってます。
BOBBY HUTCHERSON / MEDINA
(1969 BLUENOTE LT-1086 - USA)


LTシリーズに3枚の未発表作を残すボビハチ先生。他のLTシリーズは第3回にてご紹介させて頂いたので、残る1作「MEDINA」を。ピアノはやはりSTANLEY COWELL。ボビハチらしくサティに影響を受けてたり。盟友LANDも参加。ブラック・ウェスト・コースターの作品は何故かツボです。
LARRY YOUNG / MOTHER SHIP
(1969 BLUENOTE LT-1038 - USA)


「オルガンのコルトレーン」と呼ばれる彼。何とかのコルトレーンとか何とかのマイルス・バンドとか何とかのJTQとかはジャズ界の常套句なんですけどね。とにかく駄々っ子の様に鍵盤をのた打ち回るYOUNGがマジ凄い。「VISIONS」とか。BN最終録音で、この後すぐに「BITCHES BREW」に参加。
HANK MOBLEY / THINKING OF HOME
(1970 BLUENOTE LT-1045 - USA)


4367で発売予定だったタイトルが一度流れ、4417で更に流れ、ようやく日の目を見た1枚。と言うことは素晴らしいジャケット・デザインも世に出なかったことになる。これも惜しい。WOODY SHAWやCEDAR WALTON等とギターを加えたセクステット編成。A面の組曲「お家に帰ろう」がいいかな。



←第10回に戻る 第12回に続く・・・
▼編集後記

オルガンバー所属。常連。ヒロセダイスケ。


BNと言えば1000番台と言う時代があり、その後、いやいや4000番台、LTは置いといても、いや、LAシリーズなんて最高じゃない?って言い出したのはクラブ・ジャズ発信といっても過言ではないです。いや言い切ってしまうのは過言なんですけどね。例えばジャズ名盤本なんかでSKY HIGH関連作品なんかは押しなべて駄盤扱いですからね。まぁ、そう言う方々のその感覚も分かりますけどね。あ、1000番台も好きなのいっぱいありますけどね。相変わらずの特に何の主張も無い駄文ですみません。主張の無いのが主張みたいな感じでのミュージック・ライフ万歳。皆様今年も宜しくー。
 line