ROK-SEY
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第10回 「スピリチュアル・ジャズでも聴いてみよう -海外編−」
「海外編」と銘打ってみましたが、ここでの海外とは、アメリカから見て、と言うスタンスで、アメリカの素晴らしい諸作に後ろ髪を引かれつつも、アメリカ産以外のスピリチュアル・ジャズってどうでしょう。と言う事で、宜しくお願い致します。アメリカ以外の「スピリチュアル・ジャズ」なんて言うとそれこそカテゴリーなんてあったもんじゃなくなってしまいそうな感じですが、「アメリカのミュージシャンが海外に渡って(海外のレーベルで)録音したもの(リリースしたもの)」、「海外のアーティストによるブラック・スピリチュアル・ジャズ」、「その国の文化にのっとったもの、またはそれを多分に感じさせるもの」、「真にストイックなもの」と大別できそうです。

まずは、「海外に渡ったミュージシャン」。海外と言ってもここではヨーロッパが中心となりますが、60〜70年代に渡欧したミュージシャンには黒人が多く、アメリカ国内での情勢や、マーケット主義を象徴しているように思われます。もちろん海外での白人ミュージシャンの録音や功績も多々ありますし、アメリカで素晴らしい作品を残し続けたブラック・ミュージシャンも多く(そう言った方のほうが多いですが)おりますので一重には括れませんが、70年代辺りになると、スピリチュアルな要素を多分に擁したミュージシャンが、アメリカを追われるように、はたまた各国のジャズ・ファンが呼び寄せた結果か、STLEEPLE CHASE、SOUL NOTE(傘下のBLACK SAINT)、TIMELESS、日本の諸レーベル等々にスピリチュアルな作品が多く見られるようになります。

アメリカで生まれたジャズに対して「海外」は、もちろん後進国でありますから、それらの作風を継承した多くの作品が存在します。従って「海外のミュージシャンによるブラック・スピリチュアル・ジャズ」作品も存在します。在欧黒人ミュージシャンによるブラック・スピリチュアル的な作品ももちろん存在しますが、白人やアジアのアーティストにもそのような作風は大いに受け入れられ、また、そう言った米産スピリチュアル・ジャズのカヴァーも少なからず存在し、それらのアメリカのブラック・パワーが発する楽曲とはまた違った印象を与える作品たちは、とても興味深いものであります。

そして、「各国の文化にのっとったもの」。と言う事ですが、ここでさくっと申し上げるには言葉足らずな結果になってしまう訳ですが、音階的なものであったり、クラシックであったり、オペラであったり、ポエムであったり。その国が持つ独特の文化を反映したものが、その国にとってのスピリチュアルなものであり伝統であります。そう言ったものも、元々カテゴリーがあいまいな「スピリチュアル・ジャズ」。おおいに結構であります。「祭の幻想」であったり「SWINGIN MACEDONIA」もスピリチュアルだ。と言うかなり広義の解釈で御座います。この辺は世界各地域にターゲットを絞って今後是非。

そして、「真にストイックな作品」。要はフリーであったり即興音楽であったりする訳ですが、もちろん、それ以外がストイックでないと言う訳では在りませんし、このような括りが正しいとも思いませんし、更にはこの辺りは深く掘り下げてしまうと、フリーと即興音楽や現代音楽との違いについてや、DEREK BAILEYやJOHN ZONE等に触れていかなければならないところなのでしょうが、「インプロヴィゼーション」にはもちろん目を通したことがない私ですから、ちょっとしどろもどろでお茶を濁させて頂きます。この辺は、広義のスピリチュアル・ジャズ、と言う事になるかと思います。

ここで挙げさせて頂いた項目については、先にも述べさせて頂いた通り、かなり「広義」のスピリチュアル・ジャズになります。「DEREKはスピリチュアル・ジャズとは言わん!。」と言うお声ももっともであります。詰まる所、ヨーロッパ偏重もブラック偏重もなく、時代を切り開こうとする力を感じさせるもの、相反するようですが過去へのリスペクトを感じさせるもの、自己の強い思いを感じさせるもの、それが自分が好きなものの1つであり、それをスピリチュアルと銘打つことは如何でしょうか。と言う事です。まぁ、特にこう言ったジャズのみがほんとのジャズだ、とか言うつもりでは毛頭なくって、こう言ったものもカッコイイぞ。と。

今回はそんな感じで、おまけとして出来るだけ狭義に倣ったアメリカ以外のスピリチュアル・ジャズを幾つか挙げさせて頂きます。

以上、お付き合いありがとうございました!。




MARY LOU WILLIAMS / BLACK CHRIST OF THE ANDES
(1963 SABA - GERMANY)


スウィング時代からのピアニスト。本作はゴスペル・コーラスをフィーチャーした、SABA諸作の中では珍しくアメリカ録音と言う1枚。BERENDTのリスペクト度が伺えます。素朴な作風の裏のがっちりとしたスピリット。ジャケット、タイトルも完璧。裏ジャケットの凛とした彼女がかっこよすぎ。
GEORGE GRUNTZ / NOON IN TUNISIA JAZZ MEETS ARAB
(1967 SABA - GERMANY)


SABAの「JAZZ MEETS THE WORLD」シリーズの中で、最もフォーマットとしてのジャズから離れているのは、この第2弾の「ARAB」ではないでしょうか。バグパイプやタブラ、オーボエなどが乱れ飛びながらもSAHIB、PONTY、HUMEAIRがジャズとしてそれを成り立たせます。休日の代々公好きも是非。
RANDY WESTON / AFRICAN COOKBOOK
(1969 PLYDOR-FRANCE)


「AFRICAN COOKBOOK」の再演がたまりません。ATLANTICに残した楽曲の再演ですが、こちらはとにかくものすごいグルーヴ。REEBOP KWAKU BAAHや息子のNILES WESTON(名前がヤバイ)のパーカッションに時折訪れるハイ・テンションのピアノ・リフ。RANDYが長期滞在したモロッコへの愛。
JEF GILSON / MALAGASY
(1971 LUMEN - FRANCE)


フランスの重鎮にして急先鋒、鬼才JEF GILSONがマダガスカルのミュージシャンとの交流から生まれたグループMALAGASY。「OIEL VISION」収録の「CHANT INCA」の再演、PHAROAHの「THE CREATOR HAS A MASTER PLAN」のカヴァーを収録。「SODINA」もいいです。「MALAGASY」はSUN RA的。
SAHIB SHIHAB / COMPANIONSHIP
(1971 VOUGE - GERMANY)


特にCLARKE BOLAND BIG BANDをスピリチュアルで括るつもりはないのですが、「OM MANI PADME HUM」と言う曲。まじで最高なんですけど、このタイトルは「蓮華の中心の覚りの宝玉」と言う意味で、チベット仏教のトランスの呪文。DON CHERRYの「BROWN RICE」のジャケットにも書かれてます。
DON CHERRY / ORGANIC MUSIC
(1972 CAPRICE - SWEDEN)


スウェーデンに渡ってコミューンを作り、そこでヒッピー生活を送ったDON CHERRY。人気のPHAROHA「THE CREATOR HAS A MASTER PLAN」をカヴァーしてます。サイケデリックなジャケット、内ジャケ。インド、仏教思想に大きな影響を受けTERRY RAILEYのカヴァーなんかも演ってます。
ARCHIE SHEPP / A SEA OF FACES
(1975 BLACK SAINT - ITALY)


もちろんアメリカにも名盤がありますが、渡欧期にもドイツやフランスに多くの作品を残しています。そんな中でやっぱりこれ。ここに収録の「SONG OF MOZAMBIQUE」はUFOがマンデイさんをフィーチャーして録音した「MY FOOLISH DREAM」の元ネタ。て言うか今、「MY FOOLISH DREAM」聴くべき。
KEN MCINTYRE SEXTET FEAT TERUMASA HINO / INTRODUCING THE VIBRATIONS
(1976 STEEPLE CHASE - DENMARK)


PRESTIGE系列に作品に残した作品も好きだし、UAの「IRON SHEEP」もいい。TAYLORやDOLPHYと競演してるからと言ってフリー系と切ってはもったいないマルチリード奏者のMCINTYRE。作品に情緒が感じられるんですよね、なんだか。スピリチュアル度高め。自作曲の再演集。いいアルバムです。
SUN RA / NEW STEPS
(1978 HORO - ITALY)


イタリア公演中に残した通称「HORO3部作」と言うものがありまして、その中で美しさで言えばこちらでしょうか。CAMやGILLESもここからの楽曲をコンピに選んでおり、また、スモール・コンボで聴くSUN RAの「MY FAVORITE THINGS」なんてのも如何でしょうか。JOHN GILMOREがかなりいい。
PHAROAH SANDERS / AFRICA
(1987 TIMELESS - HOLLAND)


PHAROAHはオランダTIMELSEEに3枚のアルバムを録音していて、本作には、「YOU'VE GOT TO HAVE FREEDOM」に「ORIGIN」、「NAIMA」と言った、定番曲ぎっしりな豪勢な内容。SLEEPWALKERが好きな方ならば、ここの「YOU'VE GOT TO」はツボなハズ。ライブ・ヴァージョン・アレンジ。



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▼編集後記

オルガンバー所属。常連。ヒロセダイスケ。


京都に遊びに行ってきました。SECOND ROYAL X JET SETのみなさま、遊んで頂いてありがとうございました!。ちょっとタイトルを「SAVE THE VINYL」に変えたい深刻なイキオイの今日この頃でございますが、みなさま如何お過ごしでしょうか。既にちらほらと話題に上がる、今年も1月に開催を控えるオルガン・バーが誇る隠れ名物イベント「クラブ・ウォーズ」が楽しみでなりません。今年は渾身の「木村さんセット」(家宝。生サイン入り。ありがとうタカヒロック!)で望みたいです。なので泥酔タイムでお願いします、店長。
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