2013年です。すっかり遅くなってしまいましたが、あけましておめでとうございます。そして昨年は少しお休みを頂いたりと申し訳ありませんでした。無自覚な僕が悪いのですが、何だか忙しいみたいです…、最近。そんな訳で今年も自分の脳内の整理整頓の為にも『2012年、僕がよく聴いた作品』ランキングです。自社レーベル『プロダクション・デシネ』の作品が大半ですが、たくさん聴いて、リリースしたい!と思った作品達ばかりなので、当然と言えば当然ですね。セレクトの基準はいつもと一緒で単純明快です。“良いメロディ”、“素敵な何か”、“感動”、それだけです。

Masao MARUYAMA (musique dessinee)

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Masao MARUYAMA (musique dessinee)



Mindy Gledhill / Anchor
(production dessinee)


文句無しの大傑作。カリフォルニア生まれの女性SSW、ミンディ・グレッドヒルの3rdアルバム『アンカー』は、非の打ち所の無いほどにステキなアコポップの逸品です。オープニング曲「カリフォルニア」を聴けば、きっと誰もが納得できる素晴らしさですが、そのメロディセンス、歌声の素敵さは唯一無二。アルバム通して彼女の世界観を満喫出来ます。ま、この最高のジャケットから全てが伝わるかなぁ、とは思いますが…。


Guy Cabay / Tot-a-fet rote cou-d'zeur cou-d'zos
(production dessinee)


とにかく、色々なことがユニークなベルギーのヴィブラフォン奏者/作編曲家、ギィ・キャベの1978年のデビュー作『ぜんぶまちがい』。ジャズ演奏をベースに、ベルギーなまりのフランス語(ワロン語)、優しい歌声で聴かせる夢見心地の名作です。中でも最高なのは、胸を締め付けられるような切ないメロディがとにかく素晴らしいボサノヴァの「ガール・ネクスト・ドア」と、繰り返すフルートのフレーズと子供達のコーラスがたまらない「聖母“自動車”、魔女の踊り」。ウットリです。


Mateo Stoneman / Mi Linda Havana
(production dessinee)


ロサンゼルスとキューバをベースに活動を続ける男性SSWマテオ・ストーンマンが、2003年から2012年にかけキューバへと何度も赴き吹き込んだ2ndアルバム『マイ・ビューティフル・ハバナ』。オープニングを美しく飾る「Alma con Alma」の出だしのピアノの響きだけでも、そのロマンチックな雰囲気が伝わる、期待通りの、いや、期待以上の極上のキューバン・ジャズヴォーカル、ボレロの逸品です。


Bjorn Gardsby / On the Line
(production dessinee)


青いメロディの言葉に出来ない心地良さ。スウェーデンの男性SSW、ビョルン・ヤーツビーが1980年に自主制作で残した名作『オン・ザ・ライン』。当時の欧米の音楽からの影響を感じさせるAOR/80'sファンク的なサウンドと、全曲英詞と言うのも良いですが、自身のペンによるメロディがとにかく上質。どこか切なくなるような青いメロディが心に沁みるフリーソウル・ライクな「No one like」、「Love & devotion」、Do you really」など、素晴らしいです。


Flavia Muniz / Descalcos Sobre a Terra
(production dessinee)


知られてなくてもステキな作品はステキです。ブラジルの女性SSW、フラヴィア・ムニツのソロデビュー作は、エリス・レジーナやガル・コスタなどの偉大な先人たちへの憧れやリスペクトを感じさせつつも、現在形のポップ感覚もしっかりと感じさせる、新世代MPBとでも言うべき、ポップでカラフルで、時に哀愁を感じさせる1枚。ただ、さらに注目したいのは、透明感を感じさせつつも、抜群の存在感で聴かせる彼女の歌声の素晴らしさでしょうか…。


BMX Bandits / In Space (production dessinee)

やっぱりステキ…、そして感動的。グラスゴーの伝説的インディポップバンド、BMXバンディッツの大傑作。『イン・スペース』と題された本作に収められたのは、程よくスペーシーなフィーリング、優しさ一杯の歌心、そして、1985年の結成当初から変わらない心に残るメロディの数々。過去と未来と宇宙への旅路をしっかりと描いた究極のコンセプト・ポップ・アルバムがここに。


The Copeland Davis Group / Smouldering Secrets (production dessinee)

念願の1枚が遂に…。黒人ピアニスト、コープランド・デイヴィスが1975年にローカルレーベルからリリースしたインディソウルの名作。元々は、ジャズのピアニストだった彼が、自らの歌声を披露し、見事なメロウソウルに昇華している楽曲、華麗なピアノが走るインストのジャズダンサー、ともに素晴らしいです。中でも、至高のメロウソウル「モーニング・スプリング」はその歌詞の素晴らしさも含めて名曲です。


Wagner Tiso / Outras Cancoes de Cinema (production dessinee)

哀愁漂う旋律の数々がひたすら美しく、次々に繰り出される映像美もまた印象的。言葉で表すのが苦痛なほどにステキな作品です。ブラジルはミナスジェライス州出身の作編曲家/ピアニスト、ヴァグネル・チゾが生み出した素晴らしい映画音楽の数々が、華麗で切ないジャズ演奏で奏でられるのが本作です。チェロ、オーボエ、ヴァイオリンなどを含むスモールコンボが鳴らすサウンドは、どこを聴いても儚く、切ないメロディの応酬で、聴けば聴くほどにその深みにハマって行きます…。


One Punch / Punch Drunk Love (production dessinee)

韓国のポップデュオ、ワン・パンチのデビュー作が圧倒的です。極上のメロディラインと爽やかな歌声、ピアノを軸にしたポップ・サウンドのクオリティも抜群。さらにスゴいのは、Kings of Convenienceの来韓公演のオープニングを務めただけあって、しっとり聴かせるアコポップの数々が尋常じゃないクオリティだと言う事。でも、せっかくなので、何の偏見も無く、疾走ビートに転がるピアノも昇天モノなオープニングの青春ポップ「まだ僕は夢見ている」を是非お試し下さい、終盤のコーラスパートなんて鳥肌モノですから。大傑作!!


秋休み & キム・ジェフン / 室内楽 外出
(Luova Factory)


掛け値無しにステキなポップソング達が、どこか愛らしく、クラシカルなアレンジで蘇ります。韓国の男女2人組ユニット秋休みが、キム・ジェフン氏をアレンジャーに迎えて残したミニアルバムは、彼等の最大の持ち味である、甘酸っぱいメロディが際立つ、実に切ない名作です。新曲達も素晴らしいですが、デビュー作にして最高の傑作『秋休み』からの楽曲の再演が奇跡的。特に終盤の「時々狂おしいほど君を抱きしめたくなる時がある」、「Long Short Story」、「イブナ」の流れは、それぞれの楽曲の良さに加え、一連の流れ、そのものがミラクル。まさに、涙を誘う大傑作です。