寒かった冬も終わり、そこかしこに春の気配が感じられます。僕は春の「フワフワ」とした感覚がたまらなく好きなのですが、音楽においても「フワフワ」とした音楽が存在するのではないでしょうか。

今月のお題は「フワフワ」。フェンダーローズやヴィブラフォンの入った浮遊感のある曲、飛行機に乗っているときに聴きたいレコード、飛んでるジャケット・・・フワフワに関するレコードのセレクションです。

Toru WATANABE (pee-wee marquette)

02,04,06,08,10:
Toru WATANABE (pee-wee marquette)
01,03,05,07,09:
Masao MARUYAMA (musique dessinee)



MONICA DOMINIQUE / MITT I MEJ
(DOMINIQUE RECORDS)


北欧ピアノトリオの大傑作「ティレグィナン」でお馴染み、スウェーデンの女流ピアニスト/作編曲家モニカ・ドミニク氏が音楽を手掛けた”子供ミュージカル”の傑作。オープニング、フワフワしたメロディが余りにも美しいタイトル曲「MITT I MEJ」が最高にラブリーで感動的なソフトロックの大名曲ですが、子供達のスキャットが最高にハッピーなラテンジャズ「SANGEN OM V-ORDEN」、そしてラストを穏やかに飾る「MITT I MEJ [B]」は前述のナンバーをジャジーに仕立てた名演。大人も子供も楽しめる、ジャジーなポップスの極めつけ!


ALBERTO BALDAN / METRO
(JOLLY)


春らしいウキウキ感が詰まったイタリア産グルーヴィ・ラウンジ。サントラやライブラリーで多くの仕事を残しているALBERTO BALDAN(再発された『IO E MARA』が有名)が1960年代後半にリリースした本作。A面「METRO'」・B面「SURF」共に切れの良いハモンドオルガンとティンパニーが効果的なグルーヴィなナンバー。ライブラリー的なサウンドですが、フワフワした軽快なサウンドが心地よい。ジャケットの女性が持っているメビウスの輪みたいなのが気になります。


ERIC ARCONTE/EDOUARD MARIE-SAINTE / TRANSFORMATION
(TOULOULOU)


フランス海外県マルティニークのパーカッション奏者、ERIC ARCONTEの1981年作。そのサウンドは、ノリの良いリズムを軸にしたカリビアン、ジャズ、ボサ、サンバと多彩な内容ですが、エレピやホーンを交えたアレンジもジャジーで秀逸。歌い手のEDOUARD MARIE-SAINTEの歌声も楽しめます。スキャット入りの軽快なサンバ調「TOUT' BITIN CHANGE」、メロウなボサ「POISSON D'AVRIL」、そしてヴァイオリン入のジャジーカリビアン「CYCLONE」など、フワフワした鳴りのエレピも、全体に良いアクセントをもたらしています。ちなみに、あのピエール・マイゼロワと同じレーベルですね…。


OLIVIER DESPAX / LOIN DE VENISE
(BARCLAY)


かつて「まるでゲイリー・マクファーランドの『SOFT SAMBA』ようなサウンド」と紹介したことがあるフランスの男性シンガー、OLIVIER DESPAX(過去記事)。バッキングにミシェル・コロムビエを迎えて制作された1963年リリースの本作、「LOIN DE VENISE」は美しく儚いメロディをボサノヴァのリズムに乗せて歌っています。映画『THE DEADLY AFFAIR』でアストラッド・ジルベルトの歌った「WHO NEEDS FOREVER?」を彷彿とさせます。


FRED BONGUSTO E IL SUO COMPLESSO / LA NOTTE E' FATTA PER BALLARE
(FONIT)


古くから活躍するイタリアの男性シンガー/作編曲家、FRED BONGUSTOが1960年代の中頃に吹き込んだ粋な一枚。ツイスト調、ボサノヴァ、ラテンから、ジャジーなビートナンバーと、幅広いスタイルの楽曲を、イイ歌声で聴かせてくれます。中でも興味深いのは、フワフワしたメロディが秀逸なボサノヴァの「CHE COSA C E」でしょう。ゆったりした曲調ながら、何度聴いても心に残るイイ曲です。


CLAUDE BOLLING / JOUENT LE PARIS (MONDIO)

エッフェル塔に桜の花という春うららなジャケット。レ・パリジェンヌ等を手掛けてきたクロード・ボランの1972年のリーダー作ですが、バッキングにもGILBERTO BECAUD等の一流が名を連ねています。音の方は、まるで1950年代のウエストコースト・ジャズを思わせる、カラリと透き通った爽快なジャズ・アンサンブル。時折アコーディオン等のフレンチのエレメントが顔を覗かせ、これがフレンチ・ジャズだったのを思い出します。GILBERTO BECAUD作「VIENS」なども収録。


MARGARET / C'EST MA PREMIERE VOITURE (SUNNY)

当時若干19歳だったと言うフランスのシンガー、MARGARETの1960年代後半の7’。決して知名度の高いシンガーでは無いかと思いますが、バックはGERARD GUSTINが務め、その歌声、演奏、アレンジもとても質の高いモノです。優雅なフルートが舞うジェントルなボサノヴァ「CHANSON DE MO ETE」はその象徴で、フワフワしたフィーリングと、そよ風のような心地良さがクセになります。『SUNNY』なんてレーベル名もソソりますネ(あんまり見た事無いレーベルですけど…)。


ART VAN DAMME / MORE COCKTAIL CAPERS (CAPITOL)

惜しくも先月亡くなったジャズ・アコーディオン奏者、アート・ヴァン・ダム。1950年頃から死ぬほど沢山のレコードを遺した人で、どの録音も似たような作風なのですが、裏を返せば、どれを買ってもハズレない安パイなミュージシャンでした。本作は1950年代にリリースされたアルバム。アコーディオンやヴィブラフォンの入ったくすぐったくなるようなカクテルラウンジジャズ。僕の持っているのでは7インチ3枚組BOXなのですが、ジャケットも可愛いですね。


GIRL WITH THE GUN / GIRL WITH THE GUN (DIASTRO RECORDS)

イタリアの女性SSW・MATILDEと、ドイツのインディレーベルMORR MUSICからのリリースでも知られるSSW・POPULOUSによるポップユニット、GIRL WITH THE GUNのデビュー作。彼女は、ジョルジオ・トゥマの名作『MY VOCALESE FUN FAIR』にも参加している才女で、その気怠さを感じさせる歌声、POPULOUSと共に描き出す絶妙の隙間感を感じさせるアコースティック・サウンドに独特の感性があります。どの曲が、と言うよりは、アルバムトータルの雰囲気を、晴れた日の昼下がり、のんびりと楽しんで頂きたい一枚です。


CAROL KIDD / CAROL KIDD
(ALOI)


真っ黒なジャケット。イギリスの女性ジャズシンガー、キャロル・キッドのレコードはどれも選曲が素晴らしい。ケニー・ランキンとかブロッサム・ディアリーとか、まるで今の僕の趣向を知っていたかのような選曲です。1984年リリースのこのデビューアルバムでも、ブロッサム・ディアリー作「I'M SHADOWING YOU」、以前紹介したJIMMY BOWMANの「YES, I KNOW WHEN I'VE HAD IT」(過去記事)などをフワフワとしたローズピアノを主体としたアレンジで聞かせてくれます。